「リボンの騎士きし」の主人公しゅじんこうで王女おうじょのサファイアは、女おんなの子こと男おとこの子この二ふたつの心こころを持もって生うまれてきます。体からだは女性じょせいでも、王おうの地位ちいをつぐために王子おうじとして育そだてられます。その後ご、騎士きしとなって敵てきと戦たたかうことになったサファイアは、二ふたつの性せいのはざまでなやみ続つづけるのです。

　物語ものがたりのテーマは現代げんだいのLGBTQ＋エルジービーティーキュープラス、つまり性せい的てきマイノリティー（少しょう数すう者しゃ）の置おかれた状況じょうきょうにまでつながる、重要じゅうような問題もんだいです。手塚治虫てづかおさむはいち早はやくこの問題もんだいに目めを向むけ、どんな社会しゃかいをつくるべきかヒントをあたえてくれていました。

　そう、これはどんな社会しゃかいを目指めざすべきかという問題もんだいなのです。考かんがえてみれば、男おとこも女おんなも、あるいは両方りょうほうの心こころを持もった人ひとも、遠とおい昔むかしから存在そんざいしました。女性じょせいだから苦くるしむ、同性愛者どうせいあいしゃだから生いきにくいという人ひともたくさんいました。同性愛者どうせいあいしゃが苦くるしむのは「正常せいじょうではない」とか、「結婚けっこんできない」などと決きめ付つけられるからです。どう考かんがえても、社しゃ会かいに問題もんだいがあると言いわざるを得えません。

　結局けっきょくサファイアは、女じょ性せいであることを選えらびます。しかしそのために、周まわりの人ひとだけでなく神かみとも戦たたかわなければなりませんでした。自分じぶんらしく生いきられる社会しゃかいをつくるために、私わたしたちはみんな、騎士きしのように勇気ゆうきを持もたねばならないのです。

男おとこの子ことして育そだてられたサファイアに、女性じょせいが着きる美うつくしいドレスがおくられてきます（「リボンの騎士きし」よりⒸTEZUKA PRODUCTIONS）