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大和古寺お参り日記【32】 - 栄山寺(下)

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八角円堂の内陣の柱に描かれた仏画。天平の極彩色が残る

 境内の最奥に立つ八角円堂は、開創者である藤原武智麻呂(ふじわらのむちまろ)の次男仲麻呂が、父母を追悼するため760(天平宝字4)年ごろに建立、国宝に指定されている。境内の建物は室町時代にほぼ焼けてしまったが、八角円堂だけは残ったという。 

 

 八角円堂は東西南北の四面に板扉、それ以外の面には連子窓(れんじまど)が設けられている。屋根には復元された石造の露盤宝珠(ろばんほうじゅ)が乗り、当初の宝珠の残欠は境内にある塔之堂内に保管されている。

国宝に指定されている八角円堂

 

 生駒龍明(りゅうみょう)住職に堂内を案内していただいた。貴重な奈良時代の建物だ。緊張して中へ入るとその構造に見ほれてしまう。須弥壇(しゅみだん)を囲む4本の柱に極彩色の仏画、天蓋(てんがい)に蓮華など、天平の装飾画が残されていた。いずれも重要文化財だが、剥落(はくらく)が長い年月の流れを物語る。内陣の四方には阿弥陀如来などの仏像が安置されている。

 

 仏画を肉眼で判別するのは難しいが、生駒住職に教えていただいて仏さまのお顔を確認することができた。「お堂を建立した親子の思いを感じながら、じっくり眺めていただきたい」と生駒住職。今に残る天平の空間は扉の内部だけが別世界のように存在していた。踏みしめた床の温もりを確かめるように深呼吸してからお堂を後にした。

須弥壇(しゅみだん)を囲む4本の柱に描かれた極彩色の仏画
阿弥陀如来像

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