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地域で見守りができる社会に - 認知症とともに歩む【1】

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 「認知症」という言葉はよく耳にしても、身近な人が当事者になったということでもなければ、どこか避けたい話と思っている人も多いのではないでしょうか。記者もその一人で、一般的な知識しかありません。しかし、親も70歳を越えてくればいつまでも避けて通れる話でもありません。そこで「認知症」をテーマにいろいろな側面から話を聞き、認知症について考えてみたいと思います。

 

 

65歳以上の4人に1人が認知症または予備軍とも

 

 認知症を含め、介護を必要とする人が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられるよう、生活全般を包括的に支援するのが「地域包括支援センター」。各市町村にある地域包括支援センターを後方支援し、また市町村での認知症についての啓発の広域的な支援などを行う奈良県地域包括ケア推進室で、認知症についての取り組みについて聞きました。

 

☆ ☆ ☆

 

 諸外国に比べて高齢化が進む日本の中でも、高齢化率の高い奈良県。2025年には団塊の世代すべてが75歳以上となり、5人に1人が後期高齢者という時代がやってきます。その中で、認知症高齢者も増えてくると予想されています。

 

 「認知症」とは、何らかの原因により、脳細胞の働きが悪くなったり、障害によって起こる病気または症状で、脳の機能が低下し、日常生活に支障を及ぼす状態のことをいいます。

 

 65歳以上の4人に1人が認知症または予備軍と言われており、誰もがなる可能性があります。

 

 例えば、加齢によるもの忘れが「夕食に何を食べたか思い出せない」というように、体験したことは覚えていてヒントがあると思い出せるのに対し、認知症は夕食を食べたことを思い出せないなど、体験したこと自体を忘れてしまいます。

 

 原因は多岐に渡るため、緩やかに症状が進行するものもありますが、早期に適切な治療をすれば症状が改善するものもあります。他の病気と同様、早期発見・早期治療が重要です。

 

 自分自身では変化に気付けないことも多いため、家族や周りの人が普段と違う様子に早く気付けるかどうかが重要です。今は高齢者の一人暮らしや夫婦だけの世帯も増えているため、家族に限らず地域住民など多方面からの見守りが求められます。

 

 

周りの人の関わり方で症状も変化

 

 認知症は薬物療法などによる治療も行われますが、周りの人の声の掛け方など関わり方でも症状が落ち着く場合があります。認知症の人は急な変化や、怒られることが苦手なことが多いです。例えばごみを出す日を間違っていても、近所の人がきつく責めるのではなく、優しく正しい日を伝えるなど、「認知症かもしれない」と思って温かく見守られるような、認知症の特性を理解し接することができる人が周りにどれだけいるかが大切です。

 

 認知症の人を正しく理解して、認知症の人や家族を温かく見守る人を「認知症サポーター」といい、県内でも主に市町村が地域の人を対象に養成講座を行っています。

 

 サポーターになったからといって何か特別なことをしないといけないわけではなく、認知症の疑いのある人に気付く目を養い、どこに相談すればよいかという知識を持つこと。そして、自分のできる範囲で見守ることが役割です。小学生から誰でも受けることができる、1時間半程度の講座です。

 

 コロナ禍の中でもサポーターは増えており、今後も増えることが期待されています。興味のある人は、お住まいの市町村にお尋ねください。

 

 認知症の人や家族などが集う場である認知症カフェも増え、認知症カフェという名前以外でも、「いろいろな人が集まれる場」としても各地で広がっています。認知症の本人にとっては社会参加できる場として。家族にとっては、ほかの家族との交流で情報を共有し、日頃の体験や思いを分かち合う場として。また定期的に場が設けられることで、周りの人が変化に気付き、自然な見守りができる機会にもなります。

 

 

見守りながら暮らせる地域づくりを

 

 住み慣れた温かい地域で自分の人生をまっとうしたい―。そんな願いを持っている人は多くいます。最期を家で迎えるか、施設で迎えるか、それは本人らしさを尊重しながら考えられるべき問題で、答えはありません。

 

 同じ認知症でもその人の症状は原因となる病気などにより異なります。周りの人がするべきことは、認知症を理解し、本人の気持ちに寄り添った対応を心がけることです。

 

 認知症の人が怒っていても、自尊心を損なうような言い方をしないよう気配りをして、どんな理由があってそうなっているのかを思いやること。例えば、いつも取り込まれている新聞が郵便受けにたまっているなどの異変に気付くこと。また相談できる窓口を知っていることも大切です。

 

 身近な相談窓口としては、各市町村の地域包括支援センターがあります。保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員など、専門性の高い人がいるため、気軽に相談できます。

 

 家族など周りの人に余裕がないと、本人もしんどく感じます。そこで、家族の心のケアも大切になってきます。本人への声の掛け方、関わり方の工夫など対応の引き出しを多く持てるよう、「認知症の人と家族の会」などが電話相談に応じています。

 

 また最近問題になっているのが、若年性認知症です。65歳未満で発症した認知症のことを言い、早い人であれば30代後半から発症する場合もあります。高齢者における認知症との違いは、まだまだ現役で働いている世代であり、家計を支える年代ということで、課題が異なってきます。

 

 適切な医療を早期に受けることが求められます。そのためにも、少しでも異変を感じたらすぐに相談できる環境や、職場の認知症への理解も必要です。そのために、若年性認知症専用のサポートセンターや相談窓口もできています。

 

☆ ☆ ☆

 

 どの年代の認知症に対しても必要なことは、認知症への正しい知識と理解を、当事者や家族に限らず社会全体が持ち、いつもと違う変化に早く気付けること。認知症の人の特性を知って、温かく地域で見守ることができる環境だと感じました。

 

 今後、認知症に関わるいろいろな立場の人や団体に話を聞きたいと思います。

 

 

 

【問い合わせ先】

■お住いの市町村の地域包括支援センター

 

■公益社団法人認知症の人と家族の会奈良県支部 電話相談

日時:火・金曜日10時~15時、土曜日12時~15時(祝日は休み)

Tel:0742・41・1026

 

■公益社団法人認知症の人と家族の会 電話相談

日時:月~金曜日10時~15時(祝日休み)

Tel:0120・294・456

 

■奈良県若年性認知症サポートセンター

電話相談:月・水・木・金曜日、毎月第2土曜日9時~17時(祝・祭日、年末年始を除く)

Tel:0742・81・3857

※出張相談 第2金曜日13時~16時 奈良県立医科大学附属病院内

 

■若年性認知症コールセンター

日時:月~土曜日10時~15時(年末年始、祝日除く)

Tel:0800・100・2707(無料電話)

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