歴史文化
大和路の弘法大師【2】 恵泉寺(橿原市山本町) - 大師杖突きの井戸
大和三山の一つ、畝傍山北麓に位置し、平安時代後期の創建とされる。
近くに水場がなく困っていた村人のために、大師が杖で地面をトントンとたたいて湧いたという井戸が残る。畝傍山の周辺には六つの井戸が掘られ、お大師さんの「七ツ井戸」と伝わるが、現在も使用されているのはこの井戸のみ。「お大師さんの井戸」と広く信仰され、地域の人をはじめ水をくみに来る人は後を絶たない。
寺によると、平地で深さ2メートルほどの浅い場所から、豊富に飲み水が湧き出ているのは大変珍しいという。
本尊は石仏の弘法大師像。井戸から出た「お大師さんの形見」の石とともに、1821(文政4)年建立の本堂に祭られている。
(伊藤波子)