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奈良クラブ試合サマリー J3第1節

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©NARA CLUB 果敢な攻撃を見せた寺村。得意のドリブルで右サイドバックの新たな可能性を示した=5日、ロートフィールド奈良

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松本山雅FC 2―0 奈良クラブ

 

▽得点者 【松】小松蓮、村越凱光

 

▽順位 18位 

 

 

【戦評】

 

 奈良クラブは松本山雅FCの激しいプレスに劣勢に回り、前半29分にPKを献上。後半8分にはカウンターから2点目を失った。

 

 奈良クラブは前半、嫁阪の左クロスに浅川が2度ゴールに迫ったが決めきれず逸機。後半には山本の右クロスでチャンスをつかんだが、ここでも決定力を欠いた。全体に立ち上がりから堅さが目立ち、丁寧に試合を組み立てる持ち味を発揮出来なかった。

 

 

【記者の目】

 

 開幕戦は複数の要因が重なり、出鼻をくじかれた格好となった。開幕戦の前からフィットネスが整わない選手が複数いて、松本山雅FCに対応するメンバーがしっかりと組めなかったようだ。さらに試合当日に体調不良者が出て、先発メンバーの中でポジション変更を行ない、この時点でゲームプランをひとつ使ってしまった。

 

 試合は松本山雅FCの激しい前線からのプレッシャーとフィジカルの強さに受け身に回り、押し込まれる展開が続いた。相手の勢いを跳ね返せないことで、気持ちに余裕がなくなり、前半31分にGKアルナウが相手選手の挑発に乗り、相手選手を押した事でゴール前でもめ事になり、鈴木がイエローを受けてPKを与えてしまった。後で分かったことだが、アルナウが感情的になりやすいことを松本山雅FCがスカウティングで知っており、意図的にアルナウを挑発したようだ。

 

 そんな状況でも前半は左サイドから浅川が2度チャンスに絡み、得点にこそ至らなったが、ここで決めていれば違った展開になつたことだろう。

 

 後半は相手に疲れが見えプレスが緩慢になった事で、奈良クラブは次第に持ち味のパスワークでリズムを作った。しかし、敵将・霜田正浩監督は素早く交代枠5人を使い、奈良クラブのリズム、勢いを切ってカウンターから加点して試合を決めた。 

 

 フリアン監督は「感情のコントロール」が勝敗を分けたと観ており、挑発に乗らない事やアグレッシブに立ち向かう事を今後の課題に上げた。また「1秒も休む時間がない。1秒遅くなると失点する」とも指摘している。

 

 試合後、浅川は「もっともっと自信を持ってやらないといけない。今日は相手をリスペクトし過ぎた」と話している。

 

 メンタル面ばかりをクローズアップしてきたが、戦い方はどうか。間違いなく、選手のフィットネスが万全になれば、このリーグで十分に戦える。ミスからの2失点。完全に崩されて敗れた訳ではない。ただ、痛感したのは、判断の早さが違うこと。松本山雅FCはボールを持ってからパスを出すまでが速い。奈良クラブはボールを持ってからパスコースを探すことで、どこへボールを出すか読まれている。フィジカルの弱さもの今後の改善点だ。

 

 嫁阪と寺村が堂々と戦ったのが印象的。昨年、嫁阪に出番が回ってきたのは終盤。「腐らずにやってきたのが良かった」と振り返る。終盤の活躍で、Jリーグ最初の試合で先発出場を勝ち取り、左ウインガーで奮闘した。当たりの強さがあり、メンタル面でも「怯んではいけない」と最後までアグレッシブに戦った。 

 

 寺村は右サイドバックで先発。守備でだけでなく、ドリブルで攻撃に参加。しかもタテにドリブルで持ち上がるのではなく、右サイドから斜め左前方に突破を図り攻撃の幅を広げた。物怖じしないのが寺村、嫁阪の良さ。チームにとって良い見本がここにある。

 

 初戦で好材料、反省材料がそろった。フリアン監督はそのディティールを個々に突き詰め、対策を講じていくだろう。

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