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【動画あり】奈良・御所市に名酒あり。地元のうまいもんとお気に入りの器とともに - 大和酒蔵風物誌・第5回「裏百楽門」(葛城酒造)by侘助(その4)

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奈良のうま酒を楽しむ【読者プレゼントあり】

家呑み用に現地で絶品の鴨肉、豆腐、しょうゆを入手

 今度の葛城酒造(奈良県御所市)の訪問では、「裏百楽門」だけでなく、家呑み用の食材に多く恵まれた。取材を終えたあと、四代目蔵元の久保さんに、このへんで何か酒のつまみになるような美味しい食材ないですか、と尋ねたら、「鴨肉売ってるところがあるよ」と連絡先を教えて下さった。鴨氏の郷で鴨とは語呂もいいし、酒のしっかりした味わいを堪能するのに、鴨は主張し過ぎず、それとて控え目でもなく、ちょうどいいメインのアテになりそうだった。

 

 「鴨重」というところで、場所は葛城山ロープウェイの搭乗口近くにある。ただ、このお店、卸しが中心でネット販売で小売りもやっているようだが、お店での直販は電話予約のみ。だから、お店といっても看板もないし事務所のようなところだった。鴨をわざわざ買うのは初めてだったので、お店のお母さんに初心者にオススメのものをお願いしますといったら、ロースとモモのミックスセットを用意して下さった。家族四人分で800グラムにしたが、かなりのヴォリュームで結局、我が家の食のキャパシティでは、これで2度の夕食をまかなえた。いかにもうまそう。

 

「鴨重」さんの合鴨肉


 酒蔵から歩いてすぐのところには人気の「梅本とうふ店」があって、ここはメインの豆腐だけでなく、豆腐などからこしらえたドーナツで有名なのだそう。人気がある分売り切れ御免で、商品がなくなった時点で終わりだという。店には何人かのお母さんたちがいて忙しそうにされていた。注文は商品名が書かれた伝票に欲しい分を記入する方式。記入用の机に商品が写真入りで紹介されているので初めてでもわかりやすい。

 

 ドーナツの試食があって、甘いものは要らんなと内心思いながら、お母さんのひとりが進めて下さるのでひと口頂いたら、これが甘くない。サクサクでモチモチで香ばしくて、所謂ドーナツとは別の食べ物かと思うほど。これを家族のお土産用に買って、アテ用には「葛城とうふ」という名のメインの絹豆腐と、薄揚げが何かに使えそうだと思って分けて頂いた。支払いを済ませると、「オカラもサービスなのでもって帰ってくださいね」といわれたので、遠慮なく一袋。何か悪いなあ。

 

葛城とうふ

 

とうふドーナツ


 この近所には、「片上醤油」という老舗があって、豆腐は冷奴でと考えていたので、そのための醤油を求めて蔵に併設されたショップを訪ねた。ショップといっても蔵の一部に設けているので、一歩入ると奥には醸造用の大桶がたくさん並んでいる。そして何より香りがすごい。醤油ができる香りというのはこんな甘い感じなのかと正直びっくりした。昔ながらの杉の木桶にこだわっているという。この蔵を取材すればそれだけで1本記事が書けてしまいそうだ。

 

 女将さん(?)が応対してくださって、冷奴に合う醤油をとお願いすると、写真の「大鉄砲醤油」の「円熟」を勧めて下さった。大鉄砲という幻の大豆が奈良にあって、粒が大きく甘味が強いそうである。これを醤油にしたのが「大鉄砲醤油」で、「円熟」はいったん出来上がった大鉄砲醤油にさらにもう一度大鉄砲大豆を仕込んだ商品なのだそう。「これは豆腐にも刺身にも何でも合いますよ」と女将さん。「でも、梅本さんのところの豆腐なら何もかけないでも十分おいしいですよ」と親切なアドバイス。同じ「大鉄砲」の「うすくち」もあったのでこれも分けてもらい、お店を後にした。

 

「片上醤油」さんの大鉄砲醤油


 あとは野菜系で、「鴨重」さんのところに行く途中でJAの直売所があったので覗いてみたら、立派なほうれん草があったので、これと薄揚げを炒めて鴨肉のサイドメニューにすることにした。鴨は、豆腐とともに鍋にするのもいいかと思ったが、このサイドメニューと、豆腐は初めはやはり生がいいとの判断で、単純に炒めることに。その代わり、鴨にかけるソースは片上さんの醤油を使って自家製にすればいい。今回の食材は御所というか葛城酒造の近所でほぼ調達できた。まるっきりの地元プレートである。

 

 

 

さっそく調理開始

 「鴨重」さんのホームページによると、鴨肉は炒めすぎると固くなるとあるので、さっと炒めた。ソースは片上さんの「円熟」に酒とみりんを合わせて、そこにショウガとリンゴを加えた。肉に焼き目ができた頃合いにソースをからめる。美味なのはもちろん。筆者はどちらかというとモモのほうが好みか。結局、家族4人でも800グラムの半分で十分だったので、残りは後日鴨蕎麦にした。炒めた鴨肉と白ネギを蕎麦のつけ汁と煮て十割蕎麦につけて食べる。これが最高で、家族にも大人気だった。もちろん、お酒にも合う。


 梅本さんのとうふには「円熟」とネギとショウガ。片上さんがおっしゃっていたとおり、初めは何もつけずに食べたら、この豆腐の何とうまいこと!まるでチーズケーキでも食べているような食感で、味も濃厚。女将さんのアドバイスの意味がよくわかった。もちろん、片上さんの醤油をかければまた別のおいしさが。「円熟」もまた濃厚だが、見た目に反してあっさりしている。通常の醤油と比べると、塩分も少ないそうである。いい意味で見た目を裏切ってくれている。

 

 

 薄揚げとほうれん草はフライパンにそのまま揚げとほうれん草を放り込んで、揚げから出る油で炒めて、最後に片上さんの「うすくち」をさっとかけて味の仕上げ。シンプルな味付けだが素材の旨さを十分堪能でき、かつ簡単という最高の料理だ。調味料としての醤油はやはり万能だ。

 

 

 

今回の器は志野のぐい吞み 徳利は奈良で活躍する本多亜弥さんの作品

 今回の器は、美濃で桃山陶の美を追求する鈴木都さんの志野のぐい呑みがメイン。本来白いやきものだが、志野の場合、炎の加減でほんのり赤く色づき、これを業界では火色と呼ぶ。この作品はかなり独特の火色が出ていて、白い器というよりももはや紅い器といったほうがいいほど美しい彩色を帯びている。桃山陶によくみる動きのある造形もいい。

 

 

 

 

 ぐい呑みを志野にしたので、冷奴を入れる器も、同じく都さんの向付を選んだ。この青っぽい器もまた志野だが、これは、通常の志野の絵付けに使用される鬼板を器に塗って、それを削って模様を出す鼠志野という技法の作品。通常の志野がポジなら、鼠志野はネガである。鬼板は鉄分が主体なので、濃いと黒になるが、その成分を調整することによってこのような美しい灰青色になる。


 

 徳利は奈良で活躍する本多亜弥さんの作品。実はこれ、お酒用の器ではなく、一輪挿しだった。先日仕事で本多さんの工房を訪ねる用向きがあって、お話をしていたらこの作品に眼が行った。この瓢箪型はいいな。しかも取っ手がついててオシャレではないか。徳利に使うときっといいはず。作家は掛け花入のつもりで金具をつけてらっしゃったが、はずせるということで、はずしてもらって分けて頂いた。土ものばかりの今回の酒席ではまさに一輪の花が咲いているよう。白磁は白い器の代表格だが、同じく白い器を目指してつくられた志野とのコントラストをみるのもまたいい。今回は本多さんに無理をいって、リビング通販用にぐい呑みも出品頂いている。

 

 

 

 

 

本多亜弥さんの作陶を紹介する動画

 

 

どんな食事にも合う粋な「猿投皿」

 鴨を盛った器はここではおなじみの柳下季器さんの猿投皿。「猿投」は、瀬戸の南に位置する猿投山で中世に焼かれた器の総称。本来、器表にうっすらと灰がかかった渋いやきものだが、柳下さんは、その様式に桃山時代の黄瀬戸の釉調を加えて独自の表現を確立している。その端正なうす緑がどんな食事にも合うし、さりげなく木の葉形をしているのも粋でいい。

 

柳下季器さんの猿投皿

 

 

 今回の家呑み解説は、食材も器も脇役がひとつもなく、すべてがそれぞれの主張をするのでいかんせん長くなった。もうここらで言葉はいいだろう。あとはこの料理や器たちと「裏百楽門」を楽しむばかりだ。呑み過ぎまちがいなしだな、こりゃ。(第5回了)

 

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