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奈良県宇陀に絶品奈良漬けあり 酒器の名品とともに味わう赤色の酒 - 大和酒蔵風物誌・第4回「神仏習合の酒」「raden」(芳村酒造)by侘助(その4)

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奈良のうま酒を楽しむ【読者プレゼントあり】

宇陀で醸す赤色の酒には肉料理を

 芳村酒造で「神仏習合」と「raden」を分けて頂いた後、このうちのどちらかはぜひならリビングの編集長に呑んでもらおうと思っていた。もちろん「太子の黒駒」の返礼の意味もあったが、酒好きの彼女に一度呑んでもらって、この変わったお酒の不思議な体験をしてもらいたかったという理由もある。恐縮する編集長に「raden」を渡す際に、筆者のように大味しかわからない呑んべえに比べればはるかに的確な表現ができるはずなので、ぜひ感想を聞かせてほしいとお願いした。すると後日、編集長は律儀にメールを送ってきてくれて、そこには、案の定、簡潔でわかりやすい感想が綴られていた。

 

「raden」

 

 「最初のひとくちは、甘いスイーツのような印象。ただ、べったりとした甘さではなく、ふくよかな香りと旨味が口のなかでふくらみ広がるような芳醇な味わい。伸びやかな酸が甘味を際立たせているのか、華やぐような余韻に浸ることもできます。ペアリングするとすれば、肉料理がおすすめかと。甘口好きの女性でしたら、デザート感覚で楽しめそうです」。

 

「raden」ラベル


 やっぱり敏感な味覚の持ち主であれば、芳村さんが話していたあの米の芳醇さもわかるものなのだなと思いながら、改めて彼女の分析力と表現力に感心した。もうひとつ、「ペアリングに肉料理」との指摘に、取材の際、芳村さんが「このお酒に刺身や寿司などの和食系は合いません。どちらかというと洋食がいいですね。イタリアンとか」とおっしゃっていたのを思い出した。

 

 いせ弥の清水社長と商品写真のデータをやり取りするなかで、そのことをお伝えすると、「絶好の食べ方があります」と添えて、奈良漬を使ったタルタルソースとクリームチーズ和えのレシピをメールしてくださった。「マヨラーの侘助さんにピッタリですよ」。そのひと言で今回のメニューは決まった。メインはタルタルソースを使ったチキン南蛮にして、そこに奈良漬のクリームチーズ合えと宇陀野菜と、せっかくなのでできたての金ごぼうの奈良漬を添える。清水さんが自ら畑で採取した金ごぼうを漬けたものだそう。メインの鳥は今回は地元のスーパーで調達したが、野菜は大宇陀道の駅でほうれん草とリーフレタスを買ってきた。季節なのでかきフライもいいかと思ったが、家族がかきをあまり好まないので、いつか独りで食事するときの楽しみにとっておこう。

 

今回調達した宇陀の食材

 

採れたての金ごぼう(いせ弥提供)

 

宇陀の大地の恵みをいざ調理

 チキン南蛮はもも肉の切り身に小麦粉をまぶして、フライパンではじめ強火で焼いて、表面に焦げ目がついたら火を弱めてふたをして中に火を通す。焼きあがり直前に市販のテリヤキのたれをまぶし再び強火にして、香ばしい香りがしてきたら火を止める。市販のソースを使うことにまったく抵抗感はない。うまければいいし、簡単ならなおいい。タルタルソースは、ゆで卵をつぶしてそこにみじん切りした玉ねぎと同じくみじん切りした奈良漬とマヨネーズを混ぜ合わせる。今回は定番のうりの奈良漬にした。これも簡単。

 

チキン南蛮、奈良漬を用いたタルタルソーズとともに


 クリームチーズ和えも同じく、クリームチーズに刻んだ奈良漬を和えるだけなので簡単だが、清水さんのレシピでは、そこに砕いたナッツとブラックペッパーをかけると「香ばしさとスパイシーさが増して酒が進む」とのこと。さらに、和える際にはクリームチーズを電子レンジで少しだけ温めておくといいそうだ。そのほうがチーズの旨味が引き立つという。金ごぼうの奈良漬とリーフレタスはそのままに、ほうれん草も、メインが濃い系なのであっさり茹でておひたしにした。

 

奈良漬をクリームチーズと和えて

 

 

唐津 有田の名品とともに

 料理を盛る器は、今回品数が多いので大き目のものがいいと判断して、絵唐津の大皿を嫁さんから拝借した。このお皿は、まだやきもの初心者で各地の産地を嫁さんと旅していた頃、唐津の鏡山窯で嫁さんが購入した。ここは唐津焼を代表する窯元で、タクシーで唐津焼が観たいというと、中里太郎右衛門窯とここに連れてきてくれる。唐津の主な表現様式の器を比較的リーゾナブルな値段で売っているので、過去に何回か訪れてお世話になっている。黄色がかった土肌に勢いのある鉄絵が映えて渋い。

 

 

 酒器のほうは、唐津の隣の有田で主に磁器を焼いている豊増一雄さんの作品を選んだ。「神仏習合」の色が赤いのでそれが映える白いぐい呑みがいいと、いくつかもっているこの方の染付のなかから塩笥(しおげ)形の作品を選んだ。有田の磁器というと柿右衛門様式や鍋島焼など絢爛豪華なイメージがあるが、豊増さんはむしろ白磁が開発された頃の初期伊万里焼を意識した作品づくりに取り組んでいる。

 

 写真でもわかるように、白は白でも少し青みがかってしかもくすんでいる。御用窯系の柿右衛門や鍋島焼は最高級の素材を使って焼いているのでピカピカのイメージがあるのに対して、初期伊万里はまだ白磁の技術が発展途上にあったために白の艶も青絵の色も未完成な雰囲気を漂わせる。もちろん御用窯系の白磁の醍醐味も捨てがたいが、筆者はこの不完全で侘びた感じがとくに好きで、長年豊増さんの追っかけをやっている。今回作家にお願いして写真の作品と同手のぐい呑みをリビングショップに出展して頂いた。

 


 注器もまた同じ豊増さんの作。この片口は青磁だが、白磁作品がそうだったように、くすんだ青になっている。ふつう青磁というと中国の汝窯や南宋官窯で焼かれた青磁が有名で、「雨過天晴」といって雨が上がった後の空の色にたとえられるほど美しい青色をしているが、この技術が朝鮮半島に移転されて高麗時代になると、国力の衰えとともに次第にその完成された焼なりを失ってくすんだ青になってくる。その侘びた風情を日本の茶人たちが評価して茶席で使用した。

 

 豊増さんの青磁はまさにこの高麗青磁のようで、白磁同様派手さはないが渋い魅力をじわじわと漂わせている。そして、器胎に赤い斑点みたいなものが施されているが、これは青磁釉のなかに銅緑釉をさしてつけた模様。中国龍泉窯の名品に「飛青磁」という花入があるが、これは青磁釉に鉄釉を散らして黒い文様をつけている。豊増さんはおそらくこれを意識して、そのままやったのでは面白くないから、鉄の代わりに銅緑釉を使ったと推定できる。こういうところもこの作家の持ち味で、単に焼なりだけでない創意が感じられていい。口の切れもいいので我が家の夏の晩酌には欠かせない器となっている。

 

 

 それでは舞台も整ったところで、いよいよ「神仏習合」いただきます。御協力頂いた皆さまありがとうございました。(第4回了)

 

 

 

 

 

いせ弥の茶粥(いせ弥提供)

 

読者プレゼント 「raden」を抽選で3名様に

 今回紹介したお酒「raden」を奈良新聞デジタル読者にプレゼントします。ご希望の方は下記のURLからご応募ください。奈良新聞デジタル(有料会員)読者の中から抽選で計3名の方に賞品をお届けします。締め切りは2024年1月10日。当選は発送をもってかえさせていただきます。

https://www.nara-np.co.jp/special_present/

 

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