逢香の華やぐ大和 特別編・鹿どーもまつりで公開収録(奈良市)
臨場感あふれる即興創作
書家の逢香さんが県内の寺社を訪ね、四季折々の魅力を発見する「逢香の華やぐ大和」。今回は番外編として、NHK奈良放送局で1日に開かれた「鹿どーもまつり2023 NHK奈良においでよ!」に登場した逢香さんを取材しました。会場では「逢香の華やぐ大和」の公開収録が行われました。(川田悠紀雄)
即興で創作した作品を披露(写真はいずれも1日、奈良市三条大路1のNHK奈良放送局)
収録前に打ち合わせ
1日午前、奈良市三条大路1丁目のNHK放送局ロビーの特設スタジオでは、「逢香の華やぐ大和」の公開収録に向けた準備が始まった。今回の目玉企画は逢香さんが来場者の前で即興で作品を創作するライブドローイング。会場に入った逢香さんは、和やかな雰囲気の中、スタッフとあいさつを交わしながら、収録の流れを確認した。来場者に臨場感を味わってもらうにはどのように見せるのがより効果的か、立ち位置などを入念に検討。
番組でインタビューに応じる逢香さん
作品展
公開収録と併せ、会場内にはこれまで奈良新聞に掲載された25回分の「逢香の華やぐ大和」の連載記事と、逢香さんが「花」をモチーフに色鉛筆や墨で描いた作品が展示され、午前10時に開場すると、大勢の人が訪れた。奈良新聞の連載を毎回楽しみにしているという三郷町の会社員、山下知之さん(56)は「華麗で優美なものから、力強いものまで作品の振り幅が広い。そこが一番の魅力だと思う」と話した。
会場内に展示された奈良新聞の連載記事と作品
ライブドローイング午前部の部
午前11時30分、番組の公開収録が始まる時間になると、逢香さんのライブドローイングを一目見ようと会場には100人近くの観覧者が集まった。
作品をライブ形式で制作する機会はあまりないのでこの日を楽しみにしていたという逢香さん。横3メートル、縦2メートルの巨大な紙に、墨の入ったスプレーを吹き付け、水墨画の優美な「華」を描いていく。描き終えると、大きな筆を使って「華」の一文字を力強くしたためた。
創作時間わずか15分で作品を完成させた逢香さんに、来場者から大きな拍手が送られた。
ライブドローイング午後の部
この日は隣接の県コンベンションセンターで吹奏楽のコンサートや食のイベントが併せて開催され、午後になると会場にはさらに大勢が訪れ、ライブドローイングにも150人近くの観覧者が集まった。
午後の部で逢香さんが描いたのは躍動感あふれる鹿の姿。イベントが盛況となったことを祝して「祭」「鹿」の文字を書き添えた。水墨の雄大な鹿の姿と書を目にした来場者からは感嘆の声がもれた。
制作風景に観客感嘆
マスキングの紙を切る逢香さん
墨の入ったスプレーを吹き付け絵を描く逢香さん
午後のライブドローイングでは、躍動感あふれる鹿が来場者を魅了
トークショー
午後3時からは逢香さんの素顔に迫るトークショーが開かれ、ファンからのさまざまな質問に逢香さんが答えた。家が書道教室だったこともあり、母親の影響で6歳の頃から書道を始めたという逢香さん。それ以来、書の道を歩み、奈良教育大学でも書道を専攻、課題に追われて大変だったという学生時代のエピソードも披露した。
絵はほぼ独学で習得したといい、水墨画や墨絵に取り組んできたことが書道にも生かされたという。
「プロ書道家として意識していることは」との問いに逢香さんは「自分が楽しいと思える気持ちを大切に、自分なりの書道を追求していけたら」と話した。
トークショーの最後には、観覧者から募ったキーワードを基にその場で書をしたためるパフォーマンスも披露した。
素顔に迫るトーク披露
観覧者からキーワードを募る逢香さん
トークショーでファンの質問に答える逢香さん
メモ
◆書家/逢香(おうか)
奈良市在住。奈良教育大学伝統文化教育専攻書道教育専修卒業。6歳から書道を学ぶ。2020年、橿原神宮御鎮座130年記念大祭の題字を揮毫(きごう)。同年、元興寺(奈良市、世界遺産)の絵馬の書・画・印デザインを手掛けるなど活躍中。大学入学後、変体仮名の授業をきっかけに個性豊かな妖怪たちに興味を持ち「妖怪書家」としても活動。奈良市観光大使。