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逢香の華やぐ大和 広瀬神社(奈良県河合町)

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児童も大人も一体に

砂かけ祭り

 書家の逢香さんが県内の社寺や名所を訪ね、地域の魅力を発見する「逢香の華やぐ大和」。今回は河合町の広瀬神社で毎年2月11日に行われる奇祭「砂かけ祭り」へ。レインコートにゴーグル姿で砂かけ合戦にも参加しました。(加藤浩司)

 

「ずっと参加したかった『砂かけ祭り』にやってきました~」とときめく逢香さん=11日、河合町川合の広瀬神社

 

参道を通って拝殿へ

 

五穀豊穣を祈る「砂かけ祭り」

 奈良盆地の多くの河川が合流して大和川となる水上交通の要衝に位置する広瀬神社。神社の西方には明治の中頃まで「川合浜」という船着場があり、物資の集散地としてにぎわったという。

 

 祭神は大忌神(おおいみのかみ)の異名を持つ若宇加能売命(わかうかのめのみこと)で、水の神・水田を守る神・五穀豊穣(ほうじょう)の神として広く信仰されている。

 

 そんな広瀬神社で毎年2月11日に行われるのが、大和の奇祭の一つ「砂かけ祭り」だ。「オンダ」(御田)とも称される御田植祭で、砂を雨に見立ててかけ合い、五穀豊穣を祈る。2009年12月に河合町指定文化財(無形民俗文化財)に指定された。

 

「結構、重みがある」と砂の感触を確認

 

念願の砂かけ祭りに参加

 砂かけ祭り当日の広瀬神社参道入り口。朱色の大きな鳥居の前で、「(砂かけ祭りに)ずっと参加したいと思っていたんです」と逢香さんは目を輝かせる。この日は午前10時30分に始まる「殿上の儀」から参加した。

 

「殿上の儀」を見守る逢香さん

 

 屋台がずらりと並ぶ参道を歩き、祭典が行われる拝殿へ。「殿上の儀」では、拝殿を田んぼに見立て、田人や早乙女(さおとめ)らが苗代作り・籾撒(もみま)き・苗代巡り・苗取り・田植えと順に所作を行った。

 

 田植えの場面では、田人と牛面を付けた牛役が、犂(からすき)・馬杷(まぐわ)で田作りを行った後、早乙女が「この苗はわがにはあらず広瀬なる神のよさせし早苗なり」などと神楽歌を歌いながら田植えを行う所作をした。

 

 拝殿前で祭典を見守った逢香さんは「昔の農作業の様子が一連の所作で分かりやすく表現されていました。食の大切さも実感しました」と感心しきり。

 

参道に並ぶ屋台をぶらり

 砂かけ合戦が行われる午後2時からの「庭上の儀」まで少し時間があるため、参道に並ぶ屋台を見て回ることに。河合町商工会がこの日限定で販売する「砂かけ餅」に目を留めた逢香さん。あんこ入りの餅をおいしそうに食べ、「砂かけ合戦に向けエネルギー補給~」と笑顔を見せた。河合町商工会女性部のぜんざいも食し、「最高。温まる~」

 

「砂かけ餅」を食べて「エネルギー補給~」

 

ぜんざいも食べて「温まる~」

 

 

童心に返って夢中に

 いよいよ「庭上の儀」の時刻。拝殿前にしめ縄を張り巡らして田んぼに見立て、田人と牛役が田植えの所作をした後、砂かけ合戦がスタート。砂かけが激しいほど雨に恵まれ、秋に豊かな実りが訪れるといわれている。降り注ぐ砂がかかると厄除けになるとも。

 

砂かけ合戦。砂かけが激しいほど豊作になるといわれる。

 

 レインコート姿の参拝者であふれる中、逢香さんもレインコートにゴーグル姿で参加。すきを持った田人や参拝者と激しく砂をかけ合った。砂かけ合戦を終えた逢香さんは「童心に返って夢中になりました。みんなと一体感も生まれ、子どもたちが楽しんでいる姿が印象的でした」と息を切らしながら話した。

 

レインコートにゴーグル姿で砂かけ合戦に参加

 

 「奈良の妖怪といえば、砂かけばばあ。砂をかけ合ううちに、妖怪たちが砂をかけ合っているような不思議な感じがしてきました」とも。「楽しかったけど、疲れた~。でもまた参加したい!」。砂かけ祭りを満喫したようだった。

 

河合町のイメージキャラクター「すな丸」と記念撮影

 

逢香の目

 念願だった砂かけ祭りに参加した逢香さん。「無邪気以外何ものでもないアトラクションのような祭り」と振り返った。

 

 そこで、用意した紙に「無砂奇(むじゃき)」と揮毫(きごう)。「むじゃきのじゃは砂かけ祭りの『砂』、きは奇祭の『奇』にしました。文字の周りに砂を飾り付けて、さらに『むじゃきさ』を出してみました」。

 

砂かけ祭りを振り返り、「無砂奇(むじゃき)」と揮毫

 

メモ

◆広瀬神社
 河合町川合。西名阪道法隆寺インターから約5分。JR大和路線法隆寺駅から徒歩約30分、近鉄田原本線池部駅から徒歩約25分。参拝者駐車場あり。電話0745(56)2065。

 

◆書家/逢香(おうか)

 奈良市在住。6歳から書道を学び、奈良教育大学伝統文化教育専攻書道教育専修在学中、個性豊かな妖怪に興味を持ち「妖怪書家」としても活動する。2020年、橿原神宮御鎮座130年記念大祭の題字や、元興寺(奈良市、世界遺産)の絵馬の書・画・印デザインを手掛けた。奈良市観光大使。3月12~17日、大阪府立江之子島文化芸術創造センターで個展「Monomon展」を開催する。

 

 

 

 「逢香の華やぐ大和」は奈良新聞社とNHK奈良放送局のコラボ企画で毎月1回掲載。

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