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逢香の華やぐ大和 船宿寺(奈良県御所市)

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冬景色に際立つ黄花

一足早く春告げる蝋梅

 書家の逢香さんが県内の社寺や名所を訪ね、地域の魅力を発見する「逢香の華やぐ大和」。今回は「関西花の寺二十二カ所霊場」、御所市五百家の船宿寺へ。境内で冬の華やぎを感じました。(高橋智子)

 

ロウバイの甘い香りに「華やぐわ~」と逢香さん=11日、御所市五百家の船宿寺

 

花の寺を散策

 奈良時代(725年)、行基菩薩が開いたと伝わる御所市五百家(ゆうか)の船宿寺(せんしゅくじ)。「関西花の寺霊場」の二十二番札所で、ツツジの名所としても名高い。傾斜のある参道を、山門へと進む逢香さん。寺内には四季折々の花が約30種咲くと聞き、期待に胸を膨らませた。

 

 池泉回遊式の日本庭園を巡り、逢香さんは緩やかな石段を上り本堂へ。濃いピンク色のサザンカ、真っ赤に実るマンリョウ、高台の本堂や小さなお地蔵様など、気になる景色を見つけては足を止め、のんびりと散策した。

 

「関西花の寺霊場」の二十二番札所、船宿寺=11日、御所市五百家

 

春の気配告げるロウバイ

「かわいい!」。声を上げた逢香さんの目線の先には、ウメに似た「蝋梅(ロウバイ)」の黄色い花が冬景色の中で際立っていた。中国原産の「ロウバイ」は、ろう細工のようなつやと透け感のある花びらが特徴。名前は見た目に由来しているともいわれるが、「ウメと全く違う植物なんです」と菅原一芳住職(63)は説明した。

 

 逢香さんは花に近づき、「バラっぽいフルーティーな香りがします! 華やぐわ~…」。かれんな花姿と甘い香りで一足早い春を告げるロウバイは、2月初旬まで楽しめる見込み。

 

細なろう細工のようなロウバイの花=11日、御所市五百家の船宿寺

 

ロウバイの甘い香りに驚く逢香さん=11日、御所市五百家の船宿寺

 

 一方、ロウバイの枝には、カマキリの卵のような茶褐色の楕円体がちらほら。ロウバイは実を長くつける特徴があり、昨年の実が落ちずに残り、乾燥したものだという。それを見て「妖怪感ある…!」と逢香さん。

 

乾燥したロウバイの実。「妖怪っぽい」と逢香さん=11日、御所市五百家の船宿寺

 

陶器に絵付け体験

 続いて船宿寺から車で10分ほど移動し、歴史的な古民家で陶芸を体験できる御所市名柄のアトリエ「Acо-ceramics(アコ・セラミックス)」へ。

 

いざ、古民家で陶芸体験へ=11日、御所市名柄のAcо-ceramics

 

 同社代表でポーセリンアート講師でもある畠中あきこさん(51)の教室で体験できる「コロリアージュ」は、フランス語で「塗り絵」という意味。陶板に好きな模様や図柄を転写し、専用塗料で絵付けして家庭用オーブンで焼き上げ、その日のうちに完成できる。また記念写真を陶板に転写し、焼き付けることも可能だ。

 

家庭用オーブントースターで手軽に絵付けを楽しめる=11日、御所市名柄のAcо-ceramics

 

細で鮮やかな絵付け作品=11日、御所市名柄のAcо-ceramics

 

写真を陶板に転写し、焼き付けた作品=11日、御所市名柄のAcо-ceramics

 

ロウバイとの記念写真を、陶板に転写してもらった=11日、御所市名柄のAcо-ceramics

 

 アトリエの陶皿やタイルに描かれた彩り豊かで繊細な絵柄を見て、「きれいですね!」と逢香さん。昨年の「逢香の華やぐ大和」のロケで割ってしまった書道道具の水差しがあり、「陶器で何かできないかなと思っているのですが…」と相談。今回特別に、陶器の水差しにコロリアージュを施すオリジナルの水差し作りに挑戦した。

 

 丸みが緩やかな青磁の水差しをキャンバスに、天面の中心部から外へと白や緑の花弁を描く逢香さん。コロリアージュの絵具は塗るのではなく「盛(も)る」のがコツと教わり、慣れない作業に苦戦しながらも、40分ほどで描き上げた。その仕上がりはいかに―?

 

 「下地の色を生かし、絵具が均等に盛れていて配色もすごくいいです!」と畠中さんは大絶賛。硯(すずり)に水を足す道具「水滴」として、これからの作品作りのよきお供となりそうだ。完成作品はこのページの「逢香の目」でご覧いただける。

 

畠中さん(左)のアドバイスを受け。陶器の絵付けに挑戦する逢香さん=11日、御所市名柄のAcо-ceramics

 

※取材日は2024年1月11日。気候や天候により、草花の状況が変わることがある。

 

船宿寺花まつりを4月に変更

花まつりの様子=2017年(御所市観光協会提供)

 

咲き誇る花で迎える

 平戸ツツジ、霧島ツツジ、久留米ツツジ、ボタン、オオデマリ、シャクナゲ―。4月下旬、これらの花々が咲く時節に合わせ、船宿寺は「花まつり」の祭事を4月27日に開催する。

 

 これまで毎年5月3日が恒例だったが、温暖化の影響で開花が早まったことを受け、今年から4月の第4土曜日に日程を変更。菅原住職は「花まつりに花がないこともあった」と実状を明かし、訪れる人を咲き誇る花で迎えたい考えだ。

 

 花まつりは午前10時から。山門から本堂まで練り供養で道中散華したのち、本堂での法会や、本堂前で柴燈護摩供養が営まれる。また法会の間、秘仏の本尊「薬師如来像」を開帳し、一般公開する。

 

逢香の目

水差しのフォルムを生かし、妖怪の河童を表現=11日、御所市名柄のAcо-ceramics

 

 今回は書画ではなく、水差しに絵付けをした作品を披露。かわいらしい花文様と思いきや、完成した水差しにはなんと、目が描かれている。

 

 「水差しの水が出る所が口っぽいので、全体的に河童をイメージしてみました」と逢香さん。よく見ると、天面の花の文様は、河童の頭の皿を表現。「妖怪書家」として妖怪の雰囲気と「華やぐ大和」の花の雰囲気を併せ持つ作品が完成し、「これからの『華やぐ大和』はこの水滴と共にやっていきたい」と意気込んだ。

 

メモ

◆船宿寺
 御所市五百家484。近鉄・JR御所駅から奈良交通「五條バスセンター」行きバス「船路」下車、徒歩10分。専用駐車場(無料)あり。花まつりの日は交通規制あり。4~5月の開花期間、拝観志納金=大人400円、大学・高校生350円。電話0745(66)0036。

 

◆Acо-ceramics
 御所市名柄330の1。コロリアージュ体験=3千円▽陶芸体験=3千円▽陶板に写真を転写し焼き付けるフォトセラの注文=Sサイズ(10センチ四方)3500円から。申し込みはホームページ(https://www.aco-ceramics.com/)へ。問い合わせは電話090(4409)7555。※価格はすべて税込み。

 

◆書家/逢香(おうか)

 奈良市在住。6歳から書道を学び、奈良教育大学伝統文化教育専攻書道教育専修在学中、個性豊かな妖怪に興味を持ち「妖怪書家」としても活動する。2020年、橿原神宮御鎮座130年記念大祭の題字や、元興寺(奈良市、世界遺産)の絵馬の書・画・印デザインを手掛けた。奈良市観光大使。3月12~17日、大阪府立江之子島文化芸術創造センターで個展「Моnоmоn展」を開催。

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