11月は児童虐待防止推進月間で、各所で啓発事業が行われている。2022年度に県内児童相談所が対応した児童虐待相談件数は1639件。過去最多だった21年度より減ったが、決して少なくはない。

　ひとごとと思えないのは、子育て中に感情的に叱った経験が自分にもあるからだ。地声の大きい人間の音圧は、子どもの心に悪影響を与えたかもしれぬ。

　子育てする保護者らに、虐待につながるしんどさを一人で抱え込まないよう呼びかける資料もいろいろ出ている。もっとも、それを理解する冷静さがあるなら虐待には至らない、との声もありそうだ。

　ならば周囲のちょっとした配慮が重要になる。前述の資料には、児童虐待は社会全体でかかわり解決していく問題ともある。

　当事者はもちろん、身近な子どもや保護者の異変に気付いた時、地域の児童相談所にいつでも電話がつながるダイヤル「189(いちはやく)」がある。匿名でも通話可能なので覚えておきたい。

　他人との関係は距離感が難しい。無遠慮に踏み込むのは問題外だが、人任せでは現状は変わらぬ可能性がある。(智)