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神が乗って降臨した巨石をまつる - 船山神社・大和古社寺巡礼 012

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船山神社(船山神社)

 ※社寺名は、基本的に現在使われている名称によりました。

 ※( )内は、神社は『延喜式』神名帳による表記、寺院は史料にみえる表記です。

 ※記事中の写真の無断転載を禁止します。

 

 船山神社の由緒などは不明ですが、鎮座地背後の矢田丘陵8合目には丸木船状の巨大な三つの磐座(いわくら)が鎮座し、神が乗って降臨された磐船として信仰されてきました。

集落を抜け細い山道を登っていくと船山神社の鳥居が…

エリア/生駒郡平群町

御祭神/船山神・天照皇大神(住吉大明神とも)・天児屋根命

ご霊験/諸願成就

 

 

ご由緒

 船山神社は平安時代の『延喜式』神名帳記載の古社ですが、詳しい由緒は分かっていません。

 

 大正時代までの船山神社の鎮座地は、中之宮(現在地の南約200メートル)の東光寺東側で、大正4(1915)年ごろに宮山中腹の安明寺・春日神社(現在の鎮座地)と合祀(ごうし)され(船山神社案内板による)、名称は船山神社の名前が残されました。

 

 また背後の宮山の山頂付近にはかつて船上(船神)神社という社があり、明治初年に船山神社に合祀されたと伝えられています(『平群町史』昭和51〈1976〉年)。この船上神社の上方には「二つの鯰石に一つの船石」が存在し、この船石を拝んでいたという伝承があったことが『式内社調査報告』(皇学館大学出版部/同57〈82〉年)に記されています。『神祇資料』(明治9〈1876〉年)第8巻にも、「船山神社、今中宮村にあり、山上に三の舟石あり、長三丈、其形舟を覆ふに似たり」とみえています。

 

 実際に頂上付近には磐座と考えられる三つの丸木船状巨石が今も残っており、神がこの地に降臨される時に乗ってこられた磐船が実感されます。

『生駒郡神社明細帳』船山神社(明治25年/奈良県立図書情報館蔵)

出典:同館まほろばデジタルライブラリー)

 

 

主祭神

船山神(ふなやまのかみ)

 史料などに見えない神名。古代から船は神霊などを運ぶものとして認識され、船岡、船山などの名前の地は神社や古墳の存在することが多いようです。

 

 

境内参拝・気が付かなければ…

※📸は撮影ポイント

※スマホを見ながら散策できるように、モデル順路

 

神社に向かう道

 平群町三里の集落から東に登ってゆくと、道端には石仏も祀(まつ)られ、やがて平群谷が右手に見えます。

船山神社に続く道

 

船山神社一の鳥居 📸

 左手に船山神社の鳥居と石の階段が見えてきます。

船山神社の鳥居

 

割拝殿に掛かる額絵

 階段を登ると割拝殿があり、絵馬が掛かっています。

割拝殿の奉納絵馬

 

 絵馬は尉(じょう)と姥(うば)の絵柄で、松に鶴を描き尉は手に熊手を、姥は竹籠に手をやり傍らに箒(ほうき)が。「奉納 昭和四年拾月 中之宮氏子中」と記されています。

絵馬に描かれている尉と姥

 

本殿への石段前の広場

 割拝殿をくぐると広場があり、右手には石灯籠と手水鉢。左手には石灯籠と百度石があります。

広場にある石燈籠

 

 本殿への石段の左右には、天保4(1843)年奉献(『平群町史』)の狛犬が迎えてくれます。

石段の左右の狛犬

 

住吉大明神の石灯籠 📸

 石段の中ほど左手には、「住吉大明神 安政六己未(1859)年」銘(『平群町史』)の笠に特徴のある石灯籠があります。住吉とあるのは、明治時代の神社合祀の際に他から移されたと考えられます。

特異な形の石灯籠

 

手水鉢

 石段を登りきると右手に手水鉢があります。前掲『式内社調査報告』では「陰石を象形する手水鉢」とされています。

女陰を象形するとされる手水鉢

 

本殿前の狛犬 📸

 りりしい表情をした狛犬は、弘化2(1845)年奉献(『平群町史』)です。

りりしい狛犬

 

祝詞屋

 鳥居をくぐり十数段の石段を登ると木の玉垣に囲まれた祝詞屋があります。祝詞屋は、地元の氏子代表によって祭祀への奉仕が行われる場所です。

祝詞屋の鈴

 

 本殿前の祝詞屋の前で 二礼二拍手一礼のお作法で参拝

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(写真枚数:11枚)

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