新・大和の神々/1 長岳寺の節会(天理市柳本町)【上】 - 殯の原始的形態残す御仮屋
奈良新聞が1996年に刊行した、大和に伝わる祭りや伝統行事をまとめた「大和の神々」。それから四半世紀あまりが経過し、社会情勢の変化で行事の継承はますます困難な状況に直面しています。祭りの由来や内容、信仰といった奈良県内各地に息づく深い歴史と、先人から受け継ぐ担い手の思いを改めて取材し、連載「新・大和の神々」をスタートします。
来年で創建1200年となる古刹、奈良県天理市柳本町の長岳寺では、毎年1月10日に「節会」が営まれる。山門前に勧請縄を掛ける伝統行事として紹介されること多いが、特徴的なのは「御仮屋(オカリヤ)」と呼ばれる仮設の祠(ほこら)だ。その起原は民俗学的にも興味深い。(竹内稔人)
オカリヤは神を迎え入れるより代で「オハケ」「オダン」などとも称される。県内では北西部の平群町や南部の吉野川流域などが知られるが、長岳寺のように枝葉を使ってドーム状に覆う例はない。