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布留遺跡の研究成果報告会 「板石硯を十数点確認、今後の文字発見期待」

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布留遺跡の研究成果が披露された報告会=17日、天理市杣之内町のなら歴史芸術文化村

 布留遺跡(奈良県天理市)の研究成果報告会「ここまで判った布留遺跡―物部氏以前とその後―」が17、18の両日、同市杣之内町のなら歴史芸術文化村で開かれた。考古学の専門家らが遺構や遺物から得られた最新の知見を報告。近年議論が活発化している弥生時代の文字使用の有無に関する発表もあった。

 

 布留遺跡は天理市の市街地中心部に位置。旧石器時代から近世までの遺跡で、古墳時代には物部氏の拠点となったことでも知られる。

 

 久住猛雄・福岡市埋蔵文化財センター文化財主事は「板石硯(すずり)」と呼ばれる石製品が同遺跡で十数点確認できることを報告した。刀装具や鍛冶関連遺物が出土する三島地区が多いとし、「取引を記録したか、倉庫の管理に文字を使用したのだろう」と語った。時期は5~6世紀で、古墳時代に板石硯が存在する意義も説明した。

 

 最近の科学的分析で、松江市・田和山遺跡出土の板石硯(弥生時代中期後半)の文字が、油性マーカーの転写によるものだったことが明らかになったことについても言及した。久住さんは「科学的に確定すれば文字説は撤回する」とする一方、「板石硯であることは否定されていない」と強調。「日本列島では弥生時代中期後半以降、中国などとの外交、交易の際に文字を使用したはず」として今後の文字発見に期待した。

 

 報告会は天理市観光協会の設立65周年記念事業として開催された。

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