立民が猪奥氏を擁立、自民は佐藤氏出馬へ 参院選奈良県選挙区
夏の参院選県選挙区(改選1)に向け、各党の動きが慌ただしくなっている。12日、立憲民主党県連(馬淵澄夫代表)が新人で前県議の猪奥美里氏(42)の擁立を発表した。猪奥氏は昨年の衆院選県2区に続き、2度目の国政選挙挑戦となる。共産党はすでに新人で元大和郡山市議の北野伊津子氏(46)の公認を発表、4月2日には自民党現職の佐藤啓氏(42)=1期目=も出馬会見を予定している。
奈良市内のホテルで馬淵代表、藤野良次幹事長と会見した猪奥氏は、昨年の衆院選出馬について、「出生率全国最下位、働く女性の数も最下位といった奈良県の課題を解決するには国を変えるしかないとの決意だった。その後も多くの人から声を頂き、改めて夏の参院選に挑戦したいとの思いを強くした」と出馬を表明。「社会の変化に制度の変化が追いついていない。一人一人が能力を発揮できる社会を実現するには、子育て支援と社会保障、税の一体改革を三位一体で考えるべき。選挙戦でしっかり訴えていきたい」と抱負を述べた。
馬淵氏は全国で32ある1人区の候補擁立を今月中にほぼ終える見通しとした上で、「現在の党勢はまだまだ厳しいが、22日に党の公認決定が出次第、猪奥氏の勝利に向け県連挙げて取り組む」とした。
ただ、同党を取り巻く情勢は複雑だ。自公への対抗策として、平成28年以降、参院選県選挙区では共産党が2回連続で候補を取り下げるなど「野党共闘」に応じてきたが、共産との連携を巡り現在の立民と国民民主党は溝を深めている。国民は地方組織の立ち上げを急いでおり、県内でも連合組織内の電力総連、電機連合など旧同盟系の地方議員、支持者を軸に、土台づくりが進められている。
野党共闘について馬淵氏は、「党本部が進める話だが、現場(地方)では非自民の枠組みの中で水面下の動きがある。国民民主は私たちの同士でもあり、ともに政治活動を続けてきた仲間。現場レベルではともに戦うという思い」と述べ、「平成28年の参院選から続く1人区での一本化、野党として候補者調整に取り組むことは変わらない」とした。
だが、国民は来週中にも党県連設立を届け出る構えで、参院選の候補者擁立をにらんだ動きとすれば、双方にとって最大の支援組織である連合奈良(西田一美会長)を含め、激しい綱引きになることも予想される。与野党対決の中でどう存在感を発揮するか、正念場ともなりそうだ。
一方、関西を地盤に国政でも存在感を高める日本維新の会も党県総支部が「全力で候補擁立に動いている」とする。
維新の動きについて猪奥氏は「向き合うべきは県民。日本のおかしなところをしっかり伝えるのが私の使命。誰が出てもしっかり戦っていく」と述べた。
猪奥氏は大阪市出身。立命館大学大学院を修了し、衆院議員秘書を経て平成23年4月から県議3期。現在党県連選対委員長。