衆院の3補欠選挙が告示されて舌戦が始まったが、二つの選挙区で政権与党の自民党が、候補者を立てられない事態となった。

　過去の補選で、推薦を含めて擁立できなかった例があるだろうか。岸田政権の内閣支持率が危険水域といわれる20%台に落ちている現状を見れば、当然なのかもしれぬ。

　ここまで弱体化したのは、一連の派閥の政治資金パーティー裏金問題にある。先日の党処分で「事足れり」と考えているとしたら大間違いだ。

　政治資金規正法の今国会中の改正を巡って与党協議も始まった。焦点は会計責任者だけでなく議員本人が連帯責任を負う「連座制」導入なのだが、これに難色を示しているようだ。

　最も信頼できる金庫番が罪を犯せば、議員も連帯して責任を取って当たり前ではないか。それよりもごまかすようなことをしなければいいだけの話だ。

　県選出の堀井巌、佐藤啓両参院議員は今度の事件について説明責任さえも果たしていない。有力者宅へのおわび行脚はしているようだが、分かっていない。今の事態を招いた責任をどう取るかなのだ。(治)