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【ことなら'23春】飛鳥時代~ 太子ゆかりの地 斑鳩(いかるが)の里

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世界遺産登録30周年 法隆寺地域の仏教建築物

 国内で初めて世界遺産に登録された法隆寺をはじめ、数多くの文化財が自然に溶け込む奈良・斑鳩の里。南に大和川、東に富雄川、西には竜田川が流れ、歴史的な景観が来訪者を魅了してきた。飛鳥時代には聖徳太子の斑鳩宮が開かれ、太子ゆかりの寺院が今も法灯を継ぐ。中世以降は太子信仰の中心地、近世には法隆寺門前を中心に宿場町としても栄えた。

 

 

世界最古の木造建築

再建された法輪寺三重塔など、歴史的な風景が来訪者を包み込む斑鳩の里

 

斑鳩三塔を巡る

 聖徳太子と一族ゆかりの仏塔である法隆寺五重塔、法輪寺三重塔、法起寺三重塔を巡る散策ルートは斑鳩観光の定番。法隆寺は聖徳太子が亡き父・用明天皇のために建立を発願したとされ、世界最古の木造建造物として知られる。金堂や五重塔がある西院伽藍(がらん)と夢殿などの東院伽藍に分かれ、両院を結ぶ参道は、塔頭(たっちゅう)の築地塀に風情がある。途中の東大門も奈良時代の建築で国宝。

 

 釈迦三尊像(国宝)や光背に法隆寺の由来が刻まれた薬師如来像(同)など、飛鳥時代を代表する仏像が安置された金堂は、1949(昭和24)年に起きた火災の教訓から長らく照明設備なしで公開されてきたが、2008年にLED照明を設置、仏像の細部まで拝観できるようになった。以前の堂内は雨の日などかなり暗く、仏像をよく見ようと、懐中電灯持参の参拝者もいたという。

 

 夢殿には聖徳太子の等身像といわれる救世観音像(国宝)が安置されている。クスの一木造りに金箔を施した秘仏で、春の特別開帳は4月11日〜5月18日。

 

 法隆寺を起点に北へ20分ほど歩くと、622年に聖徳太子の病気回復を願って息子である山背大兄王(やましろのおおえのおう)が建立したといわれる法輪寺が見えてくる。講堂に安置されている薬師如来像は飛鳥時代の木彫如来像で最も大きいとされ、ぜひ拝観したい。

 

 三重塔は戦中の1944(昭和19)年に落雷で焼失、昭和30年代に住職だった井ノ上慶覚師が親子2代にわたって復興に取り組み、難航した資金集めは作家・幸田文(あや)さんが全国に協力を呼びかけたことで支援の輪が広がった。再建を手がけたのは「最後の宮大工」といわれた西岡常一さん。数え切れないほどの縁が三重塔に宿っていることを思いながら拝観したい。

 

 法起寺へはのどかな田園風景の中を10分ほど。飛鳥時代の様式を示す高さ約24メートルの三重塔(国宝)は、現存する三重塔では最古とされる。秋は周辺にコスモスが一面に咲き、斑鳩の風物詩ともいえる光景が広がる。

 

メモ

◆法隆寺

斑鳩町法隆寺山内1の1

拝観時間:8時〜17時

拝観料:一般1500円、小学生750円

電話:0745(75)2555

 

◆法輪寺

斑鳩町三井1570

拝観時間:8時〜17時

拝観料:大人500円、中・高生=400円、小学生=200円

電話:0745(75)2686

 

◆法起寺

斑鳩町岡本1873

拝観時間:8時半〜17時

拝観料:一般300円、小学生200円

電話:0745(75)5559

 

 

土塀続く昔ながらの風景

西里の町並みと藤ノ木古墳

 法隆寺の西側に位置する西里地区は、古くから法隆寺を支える大工などの職人が生活した集落。法隆寺の西大門から築地塀と古い町並みが約200メートルにわたって続いており、落ち着いたたたずまいの中で昔ながらの風景を楽しめる。

 

西里の町並み

 

 集落の西側には国史跡の藤ノ木古墳がある。直径約50メートルの大型円墳で、6世紀後半の築造とされる。これまでに行われた発掘調査は計5回。未盗掘だった石棺の内外で金銅製の冠や馬具、各種の装身具や大刀などが見つかり、考古学史に残る調査となった。出土遺物は橿原市の県立橿原考古学研究所付属博物館で見ることができる。石室は見学できるように整備され、ふるさと納税(5万円以上)の寄付者に特別公開されている。

 

豪華な副葬品で知られる藤ノ木古墳。周辺は美しく整備されている

 

メモ

◆藤ノ木古墳

斑鳩町法隆寺西2丁目

問い合わせ:斑鳩町教育委員会生涯学習課、電話:0745(74)1001

交通:JR法隆寺駅から奈良交通バス法隆寺門前下車、徒歩約5分

 

 

四季を楽しむ和歌の舞台

竜田公園から三室山へ

 県立公園に指定されている竜田公園は約2キロにわたり春には桜、初夏は新緑、秋には紅葉が見事で、一年を通じて四季の移ろいが楽しめる。「古今集」など和歌の舞台としても知られ、在原業平の「ちはやぶる神代もきかず竜田川からくれないに水くくるとは」などが有名。

 

竜田川から望む三室山

 

 川沿いを少し南に足をのばせば三室山がある。満開時には約300本のソメイヨシノが咲き誇り、山の半分は桜色に染まる。頂上には五輪塔があり、百人一首でも知られる歌人・能因法師の供養塔と伝えられている。標高82メートル。徒歩10分ほどで登れるので、晴れた日には山頂から奈良盆地の景色を楽しみたい。

 

メモ

◆奈良県立竜田公園

斑鳩町

交通:JR王寺駅から徒歩約25分。奈良交通バス竜田大橋下車、徒歩約5分

駐車場:あり(22台)

 

 

 

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