金曜時評

山下県政と県議会 阪奈新時代に期待 - 論説委員 松井 重宏

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 春の統一地方選で新旧交代が進んだ県議会。党派の勢力地図も大きく塗り替わり、従来とは少し違う視点、発想による議論が目につくようになってきた。その一つに他府県との比較、特に大阪府の施策を例に取り上げた質問、提案が増えた点が挙げられる。人口や経済規模は異なるが隣接する大阪の先進的な取り組みを参考に、県勢発展につなげる動きだ。

 

 背景には同選挙で躍進した日本維新の会の議員が大阪府の情報に明るい点があるのだろう。また山下真知事が就任直後に関西広域連合への全部参加方針を表明したことや目前に迫った大阪・関西万博への対応も、大阪府に関心が向く要因に指摘されそう。自民党や他党派も若手を中心に県政への新たなアプローチが出てきている。

 

 議論だけではない。県は2025年の同万博開催に向け、大阪の観光政策を学ぶとともに県への誘客を図るため、10月から大阪観光局に職員1人の派遣を決定。具体的な施策でも県と大阪の連携強化が動き始めた。

 

 もちろん自立志向を捨て、他府県への依存度を高めようという話ではない。歴史を振り返ると明治時代には奈良県が堺県、大阪府に合併されて地域の発展が阻害された苦い経験があり、戦後は大阪府のベッドタウンとして県の人口が急増する一方、大阪任せで公共インフラや経済基盤の整備が遅れる結果を招いた。

 

 その反省に立てば、脱ベッドタウンと地域間競争に勝ち残れる自立の取り組みは不可欠。ただし孤立は避けないと。国との太いパイプを誇示する自民党政治に対し、山下県政は日本維新の会を介した大阪府との関係強化など近隣府県との連携、協働に活路を求める。

 

 関西広域連合への全部参加は賛否の議論が続いているが、責任を分担、足並みをそろえることで負担に見合う効果をしっかり確保できるかが焦点。大阪府との関係についても経済力や政治力に差はあっても、両府県はいわば「日出ずる県」と「日没する府」。あくまで対等な共存関係を確認したい。

 

 また、こうした動きは「奈良府民」と呼ばれる層が県政に関心を持つ契機になるかもしれない。県の県外就業率は2020年国勢調査でも引き続き全国3位の27.3%と高く、通勤や通学で大阪府に流出する人口は15万6780人に上る。逆に大阪府からの流入も3万5808人いる。維新県政の誕生と対抗勢力による議論の活発化が、新しい阪奈関係を切り開くよう期待する。

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