特集奈良ラーメン探検隊活動中!

政治

奈良県が「大立山」4基の活用検討へ 奈良ちとせ祝ぐ寿ぐ(ほぐほぐ)まつり廃止で

関連ワード:

大立山まつりのシンボルとして制作された、四天王像を題材にした大立山=奈良市の平城宮跡(2016年撮影)

【制作費8000万円】

 

 冬の観光誘客を目的に、2016年から奈良市の平城宮跡で開かれていた「奈良ちとせ祝ぐ寿ぐまつり(大立山まつり)」の廃止が決まり、まつりのシンボルとして約8千万円をかけて制作された「大立山」4基は完成から10年もたたないうちに、よりどころを失った。奈良県は5月にも大立山まつりの実行委員会を開き、今後の活用策を検討する方針。実行委関係者は「作った以上は活用すべき」と観光振興への活用を期待するが、存在意義を失った大立山に新たな価値を見いだせるのか、対応が注目される。

 

 同まつりは県主導で始まったイベントで、県内市町村の伝統行催事の披露と温かい料理を提供してきた。しかし県は本年度の予算編成にあたり、まつりの中止を決定。今年1月の9回目のまつりで幕を閉じることとなった。

 

 

【現在は奈良県内4カ所で展示】

 

 「大立山」は県のマスコットキャラクター「せんとくん」の生みの親で、彫刻家の籔内佐斗司さんが描いた四天王像をもとにデザイン。繊維強化プラスチック(FRP)製でねぶた祭りのねぶたのように、内側から明かりをともせる。人形本体だけで高さは約3・5メートルあり、以前は人が引いてまつり会場を巡回していた。

 

 イベントの時期以外はまつりのPRも兼ねて公共施設などに展示。現在はなら歴史芸術文化村(天理市)▽道の駅大和路へぐりくまがしステーション(平群町)▽県橿原文化会館(橿原市)▽県コンベンションセンター(奈良市)―の4カ所に展示している。

 

 橿原市は18年に完成した分庁舎「ミグランス」の交流スペースの活用策として、19年から22年まで、大立山の貸し出しを受けた。市の担当者によると、「交流スペースの活用の足がかりにしたかった。大きな反響はなかったが、見に来てくれる人もいた。建物の外からも見えるので、祭りの集客にも一定の効果があったのでは」と話す。

 

 平群町の道の駅では22年に大立山の貸し出しを受け、現在も設置中。同駅の中山悟所長は「県外から訪れる人が多く、見ごたえのある姿に喜んでくれている。県が引き揚げない限りは置いておきたい」と語る。

 

 

【貸し出しや古代儀式の再現提案も】

 

 また「いまは四天王がうまく東西南北に配置されており、4基を巡ってもらうことで県の周遊観光につながるのでは」と期待する。 海龍王寺(奈良市)の石川重元住職は、18年度に荒井正吾前知事から大立山まつりの実行委員長を引き継ぎ、同まつりでいにしえの宮中の正月行事「御斎会(ごさいえ)」を再現。その際制作した、称徳天皇役が着用する礼冠、礼服も含め「倉庫にしまって朽ちさせるのであれば、貸し出すなどして人目に触れるようにすべき」と指摘する。

 

 その上で「奈良の古代の伝統行事は日本人も外国人も憧れを持っている。来年の大阪・関西万博の来場者を奈良に呼び込むため、大立山の四天王像を活用して古代の儀式を再現し、英語で解説するなどすれば注目が集まるのではないか」と活用案を示した。

関連記事

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド