「お水取り」として知られる東大寺二月堂…
「お水取り」として知られる東大寺二月堂の修二会は今年で1272回を数える。天平勝宝4(752)に実忠和尚が始めて以来、一度も途切れることなく営まれてきた。
師走を彩る春日若宮おん祭も昨年が887回目。こちらも平安時代以来、途切れたことがないという。どちらも伝統行事の横綱級だが、後継者不足から継続が危ぶまれる行事は少なくない。
福岡県は地域で親しまれてきた伝統行事を支援しようと、継承団体のSOSに応じて手伝い役の若者を無償派遣する制度を夏にも発足させる。
名付けて「地域伝統行事お助け隊」。構成は大学生ら約300人を想定しており、県外からの参加も受け付けるという。親しみやすい名称は「ちょっとお願い」と気軽に声を掛けられそうだ。
懸命に継承してきた伝統行事がコロナ禍で途切れた地域もあるはずで、若者の助っ人は再開に向けた大きな力となる。奈良県でも一考を。
ただ、肝心なのは地元の熱意。派遣される若者らは「お助け」であって請負ではない。継承の主体に炎があればこそ、お助け隊が生きてくる。(増)