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金曜時評

自民の知事選対応 気になる推薦過程 - 主筆・甘利 治夫

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 筋書き通りだったのか、そんな気がしてならない。自民党県連(会長・高市早苗衆院議員)の知事選候補者推薦問題だ。

 

 現職の荒井正吾氏と新人の平木省氏の2人から推薦願が出され、これを決めるための会議が先日開かれた。出席者らの話から、会議での発言者や様子を聞いたが、誰もが荒井氏の実績については高く評価したという。そこで5選という多選批判と、77歳という高齢であることが問題となった。

 

 思い出すのは、44年前の1979年(昭和54年)1月の知事選で、今は故人となった当時現職の奥田良三氏が全国初の8選を果たしたことだ。年齢は75歳だった。自民、民社推薦で、共産党の新人との一騎打ちとなり、大差で当選した。翌年、病気で潔く退陣したが、その引退会見を取材したことを鮮明に思い出す。

 

 多選にも柔軟な対応をしてきた自民党が、今回はかたくなに原則にこだわりを見せた。年齢にしても44年前の奥田氏の時代と、「人生100年」時代といわれるように、高齢者の環境はまったく異なっている。

 

 平木氏の出馬会見も、唐突に思われた。昨年12月の県議会本会議の代表質問で、荒井氏に知事選出馬の意向を質問しようとした前日での会見だった。「出るとも出ないとも明らかでない」時だったので、「荒井降ろし」の印象が強かった。そこから保守系の人々に衝撃が走り、保守分裂の流れになっていった。

 

 会議のなかで、最終的に「会長一任」となり、高市会長が「平木氏支持の声が大きかった」と、平木氏の推薦を決めた。一任されたら、双方に面談するなり、一本化に向けて汗を流すなりするのかと思ったが、即決だった。

 

 もう一つ。「保守分裂ならば日本維新の会が擁立する候補に負ける。負けるわけにはいかない」と繰り返していた。

 

 党利党略とはいわないが、そこには党より「県民にとって誰がふさわしいのか」という視点がうかがえない。荒井氏の実績、そして将来展望など、これまで支えてきた党関係者ならよく分かっている。県民本位の県政であったのかどうかを問えばよい。

 

 その維新も、県総支部代表だった前川清成衆院議員が、公選法違反で有罪判決を受け、擁立しようという知事選だけでなく、統一地方選にも影響を与えそうだ。

 

 いずれにしても、奈良の未来を決める知事選に、有権者は明確に審判を下すだろう。

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