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金曜時評

知事選の推薦問題 どうする自民県連 - 論説委員 松井 重宏

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 任期満了に伴う春の知事選に現職の荒井正吾氏が5選を目指して出馬すると表明。総務省官僚から転進を決めた新人、平木省氏との間で自民党の推薦を巡る争いが新たな焦点となっている。新年の大河ドラマにちなんだわけでもないだろうが、態度保留を続ける現職に「どうする」と決断を迫ってきた同党県連が一転、今度は誰を推薦するのか、しないのか、同じ質問を突き付けられた格好だ。

 

 同党県連は、あさって15日に開く選挙対策委員会で結論を出す方針。高市早苗会長は今月6日の会見で「すぐれた方々が県政を担うことに意欲を示していただけることはありがたい」と答えたが、同会長が総務大臣時代に秘書官を務めた平木氏と、元自民党参院議員で同党が与党として支えてきた現職。このまま進めば保守分裂選挙が避けられない。それだけに党内や支持者からは明確な態度決定を求める声も強い。

 

 知事選に向けて先に動いたのは平木氏。12月県会の代表質問を翌日に控えた昨年12月5日、県庁内で記者会見し、出馬表明するとともに同日付で自民党県連に推薦依頼を提出。現職の出馬断念を促す意図があったのか、なかったのか。同氏は会見前日に総務省を退職したと報告し不退転の姿勢を示すとともに、荒井県政については「着実に成果を挙げつつある」と評価、継承に含みを持たせた。

 

 一方、同月6日の県議会答弁でも「今しばらく熟慮させていただきたい」と結論を先延ばしした荒井氏は、1月4日の年頭記者会見で再出馬を表明。県勢発展につながる重要プロジェクトが動き出しており、それら事業の継承は難しいと判断、自ら軌道に乗せたいと話した。さらに選挙では「現職の政策を続けるのか、ひっくり返すのがいいのかが争点」と対決姿勢を示し、自民党県連に推薦依頼を出して判断を求めた。

 

 衆参合わせて国会議員6人を擁する自民党県連。県政でも最大勢力としてポストコロナ時代の地域再生を推進する役割が期待されており、昨年9月に発足した「高市県連」にとって知事選は当面の最重要課題。ただ対応次第では複数会派に分裂している県議会の同党所属議員が反目、選挙後の県政運営に影を落とす懸念も。

 

 遅れて表明した現職出馬が広げる波紋。前回選挙で自民、公明、国民民主(現・立憲民主)の3党推薦を受けた荒井氏は今回も「ほかの政党や団体にも推薦を依頼したい」としており、今後、自民党以外の党派の対応も注目される。

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