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「大立山まつり」「天平祭」奈良県が廃止決定、運営費の拠出停止 石川・実行委員長「決定前に議論できず」

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奈良県が本年度限りでの廃止を決めた奈良ちとせ祝ぐ寿ぐまつり(大立山まつり)=1月27日、奈良市の平城宮跡歴史公園

 奈良県は、奈良市の平城宮跡で毎年、開いてきた「奈良ちとせ祝(ほ)ぐ寿(ほ)ぐまつり(大立山まつり)」と「平城京天平祭(夏・秋)」の廃止を決めた。新年度予算編成に伴い、既存事業を見直し、運営費の拠出を停止する。大立山まつりは荒井正吾前知事の肝いり事業で、また一つ“荒井色”の政策が姿を消すこととなる。廃止の方針を受け、同実行委員会の石川重元実行委員長は「体を張って自分にしかできないことをやってきた。結論を出す前に議論をしたかった」と残念がった。

 

 大立山まつりは2016年に始まった冬の誘客イベント。県内の伝統行事の披露と温かい料理の提供により、市町村の魅力を発信する催しで、主に平城宮跡を会場に開かれてきた。9回目となった今年1月のまつりは2日間で約1万6千人が訪れた。

 

 まつりは市町村や民間事業者らでつくる実行委員会が主催。県は運営費を支出してきたが「冬のオフシーズンの誘客など一定の目的を達成した」として、運営費5200万円の拠出中止を決めた。同まつりのため約8000万円をかけて制作した四天王像の大立山4体はよりどころを失うこととなる。

 

 18年度に荒井前知事から実行委員長を引き継いだ海龍王寺の石川住職は、コンセプトが分かりづらく、批判されることの多かった同催しを「歴史への感謝」を表す場にしようと再構築。いにしえの宮中の正月行事「御斎会(ごさいえ)」を再現するなど、平城宮跡で開く意義付けをしてきた。

 

 石川委員長は「埋もれてしまっているコンテンツを磨き直し、奈良の存在価値を高めようとやってきた。小さなことを積み重ねていくのが観光ではないか」と県の一方的な判断に疑問を投げかけつつ、「これまでの知見をもとに、今後も平城宮跡の活用と奈良の観光力向上に貢献していきたい」と話した。

 

 また春、夏、秋の年3回、奈良市と共同で開いている平城京天平祭のうち、県が担当する夏、秋分の運営費1億3500万円の拠出も中止する。同祭は2010年の平城遷都1300年を引き継ぐイベントとして始まり、昨夏は3日間で過去最高の5万6千人の来場があった。しかし、県の担当者は「一過性ではなく、平城宮跡東側、南側も含めた全体の整備方針の中で観光強化策を抜本的に見直す」と廃止理由を説明した。

 

 平城宮跡の主要イベント廃止を決めた山下真知事は新年度予算発表の記者会見で、「新年度に立ち上げる観光戦略本部に平城宮跡歴史公園活性化部会を設け、徹底的に議論する。行政が税金を投入してイベントをしなくても、人が自然に集まってくるような、そういう人を引きつけることのできるコンテンツは何なのかを検討していきたい」と話した。

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