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奈良・明日香のキトラ古墳を発見した上田俊和さん死去、83歳

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飛鳥古京顕彰会のメンバーとともに高松塚古墳石室解体作業を見守る上田さん(左端)=2007年4月、明日香村平田

 国内2例目の壁画古墳、キトラ古墳(奈良県明日香村阿部山)を発見した上田俊和さん(うえだ・としかず)が8日、誤嚥(えん)性肺炎のため死去した。83歳。通夜は9日午後6時から、葬儀は10日正午から、いずれも橿原市見瀬町623の1のグランドハウス橿原で営まれる。喪主は長男の高照さん。

 

 上田さんは明日香村の歴史愛好家でつくる「飛鳥古京顕彰会」の一員として村の古墳などの調査や保存に尽力。1972(昭和47)年には、国内の古墳で初めて「飛鳥美人」で知られる人物画など極彩色壁画(国宝)が見つかった高松塚古墳(同村平田)の発掘にも携わった。

 

 その後、周辺住民の話から高松塚と同じ終末期古墳のキトラ古墳を発見。83(同58)年には、石室北壁で四神「玄武(げんぶ)」が見つかったファイバースコープを使った調査にも参加した。同古墳の壁画は、高松塚では失われた四神「朱雀」や天文図などが見つかり、2019年に国宝指定を受けた。

 

 キトラ古墳の発掘調査を行った考古学者の猪熊兼勝・京都橘大学名誉教授は「『考古学の明日香』は上田さんの陰の努力のおかげで達成された。大変、惜しい人を亡くした」と話していた。

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