砂で削って思い伝えるガラス彫刻「C's」 - 奈良の自慢企業(13)
一つからでも受注可
ガラス製のグラスや陶磁器のカップにサンドブラストという手法で彫刻する「ガラス彫刻工房ONO」が香芝市にある。代表の尾野貴昭氏が大学卒業後、自動車整備業や貴金属小売業の営業部長を経て、自営を始めるタイミングで出合ったのが「サンドブラスト」だ。
サンドブラストは砂を研磨剤とし、コンプレッサーによる圧縮空気で吹き付ける。塗装剥がしやさび取りから、陶磁器、ガラス等への装飾、彫刻、表面処理など、幅広く使用されている。
筆者はてっきり、パソコンで取り込んだデータに基づき、箱の中で機械が砂を吹き付けて処理加工されるものだと思っていたが、大きな間違いであった。基本的には全て手作業で、デザインしたものを特殊な樹脂フィルムにプリントし、その樹脂フィルムを切り抜いてカップなどに貼り付け、手が2本入る鉄製の箱の中で、ノズルから射出される細かい砂を吹き付けて加工する。樹脂フィルムは柔らかいため、削られることがなく、切り抜かれた部分だけが削られて、図柄や文字が見えてくるという仕組みだ。
対象物はガラスや陶磁器、木材が多く、主な用途は結婚、出産、誕生日や還暦、記念日のお祝いに使われるギフトが多い。代表が阪神ファンということもあって、阪神タイガース承認のドイツグラスや信楽焼マグカップなどは人気商材の一つである。
通常、こういった加工はある程度のロットがないと受けてもらえないが、当社では一つからでも受注しており、2軍や3軍選手といった個数がたくさん出ないものでも、応援したいファンの心理をくみ取って幅広く対応している事も、リピーターの支持が得られる要因となっている。近年では従業員からの発案によって商品開発が行われた人気アニメやゲームコンテンツとのコラボ商品が人気のようだ。
会社の目標・方針として「凡事徹底(普通を徹底して続ける)」を掲げており、掃除の徹底(職場を出社時の状況に戻す)や「自分がやる」意識を持つ、ミスをなくすなど、本当に当たり前のことを当たり前に続けることをモットーとしている。少数精鋭の職場ながら活気ある職場環境が整えられている。
店頭以外にも自社サイト、楽天市場でも購入できるため、記念日のお祝いにぜひ検討してみては~
(帝国データバンク奈良支店長・近藤穣治)
C's
香芝市下田東5の528の6