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奈良県知事、近鉄奈良線移設計画を見直し 新案は大和西大寺駅高架化のみ

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平城宮跡を走る近鉄電車=奈良市

 奈良県の本年度予算の査定結果で、山下真知事は12日、奈良市の平城宮跡内を通る近鉄奈良線の移設計画について見直す方針を明らかにした。近鉄大和西大寺駅西側の「開かずの踏切」は駅を含めた高架化で解消を図るが、東側の踏切は混雑が軽度で費用対効果の面から再検討が必要と説明。移設を含めた現在の計画と駅等の高架化だけを行う新たな案を比較検討した上で関係者と協議、改めて整備方針を決めると話した。本年度は、同協議に向けた経費などを除き、その他の予算3180万円は執行を停止する。

 

 同事業は、山下知事が本年度予算の執行を一旦停止するよう指示していた21事業の中の一つ。

 

 知事は定例会見で行った査定結果の公表で、近鉄大和西大寺駅周辺の踏切改良について「いわゆる『開かずの踏切』解消のため、引き続き事業を進める必要がある」とする一方、駅の東西では踏切の混雑状態が違うと指摘。「東側の踏切はそれほどひどくない」とする認識を示すとともに、移設が完了する予定の2060年までには「人口が減っていくので、(現状のままでも)踏切の状態は解消されるのではないか」とする見通しも話した。

 

 また、近鉄にヒヤリングを行ったところ「近鉄としては大和西大寺駅の高架化は必要だが、平城宮跡歴史公園からの移設は必要とは考えていないということだった」と報告。現行計画のまま進めるか知事提案の計画に変更するかは今後、改めて国交省や近鉄、奈良市と比較検討した上で決めるとしながらも、「まあ、おそらく私の案が優れているということになるだろう」とし、移設されない可能性が高いとする展望を示した。

 

 近鉄大和西大寺駅周辺の踏切道改良については、道路の渋滞原因となっている踏切8カ所(駅西側4カ所、同東側3カ所)を解消する方策として、県が2020年に、駅の高架化と国営平城宮跡歴史公園内の鉄道を南側に移設する案を提示。これを基本として協議を進めることで国と鉄道事業者の近鉄、道路管理者の県、奈良市が合意していた。

 

 査定結果公表を受け、報道各社の取材に応じた奈良市の仲川元庸市長は「当初から近鉄が提案した案に戻った。個人的には妥当な案だと思う」と山下知事の判断を評価。

 

 平城宮跡からの移設案については、「県が前知事時代に強い意向で事業を進めようとしていた。具体的な技術工法や費用負担とかは、これから詰めていきましょうということで覚書を結んだ」と振り返り、「試算すらできない莫大な予算をかけてやれば後世の負担になる。現実的な交通対策が重要と思う」とした。

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