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江戸期の天皇陵 詳細な記録 写本帳「御陵五十一基絵図」を橿原神宮で初公開

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江戸時代後期の天皇陵の姿を伝える「御陵五十一基絵図」=17日、橿原市久米町の橿原神宮宝物館

治定以前の伝承と実態を知る史料

 

 約200年前の奈良県内の天皇陵について、所在地や大きさなどを細かく記した江戸後期の写本帳「御陵五十一基絵図」が17日、奈良県橿原市久米町の橿原神宮宝物館で初公開された。神武天皇陵は現在の綏靖(すいぜい)天皇陵(橿原市)で、1863(文久3)年の治定以前の伝承と実態を知る貴重な史料。12月4日までの特別展示。

 

 制作した人や年代は不明だが、江戸幕府が陵墓修復事業のために調査した報告書などの写本をもとに、実際に現地を観察した人が集めた情報や知見を書き込んだとみられる。

 

 四つ折り半紙に墨書きで、縦12.8センチ、横18センチにつづられていた。未治定の掖上鑵子塚(わきがみかんすづか)古墳(御所市)も含め51基を記載。高松塚古墳(明日香村)は文武天皇陵として紹介されている。絵図は、大淀町から徳島県吉野川市に嫁いだ女性が「家宝」として大切に保管していたもので、孫が2014年に橿原神宮に奉納し、今回初めて展示された。

 

 展示は一部(18面13基分)だが会期中の展示替えを検討している。このほか1881(明治14)年の神武天皇御陵図(個人蔵)や昭和9年ごろのものとみられる御陵印(ごりょういん)掛軸(橿原神宮所蔵)など、計10点を並べて企画展「天皇巡りの近世・近代」とした。

 

 展示を担当した皇学館大学の長谷川怜助教(35)=日本近現代史=は「御陵絵図は写実的で観察眼の確かさが際立つ貴重な歴史資源。明治以降、巡拝やツーリズムに貢献した陵墓の姿も紹介した」と話す。

 

 開館は土・日曜、祝日の午前9時~午後4時。平日は要予約。入館料一般300円、中・高・大学生200円、小学生以下無料。常設展示も見学できる。

 

 問い合わせは橿原神宮、電話0744(22)3271。

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