シーズン到来 - 台風に備えよう
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秋と言えば、食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋などを思い浮かべますが、「台風に備える秋」でもあります。先日も台風11号が東シナ海を北上し、南海上から暖かく湿った空気が流入した影響で秋雨前線が活発化して近畿地方も大雨となりました。日本では、おおむね8月終わりから10月の間に台風が襲来し、大雨や暴風などによる災害が発生する確率が高まります。
台風被害から自分の身を守るために取るべき日頃からの備えについて紹介します。
――台風はどうして発生するか
台風は、赤道付近の海上で多く発生します。海面水温が高い熱帯の海上では上昇気流が発生しやすく、この気流によって次々と発生した積乱雲が多数まとまって渦を形成するようになり、発達して熱帯低気圧となり、風速が17m/Sを超えたものを台風と呼びます。また、台風は通常東風が吹いている低緯度では西に移動し、太平洋高気圧のまわりを北上して中緯度に達すると、上空の西風(偏西風)により速い速度で北東へ進むなど、上空の風や台風周辺の気圧配置の影響を受けて動きます。
なお、台風によって引き起こされる災害には、風害、土砂災害、洪水害、浸水害、高潮害、波浪害などがあります。もちろんこれらは単独で発生するだけではなく、複合して発生し、大きな被害となることがあります。日頃から備えておくことが大切です。
――台風の最新情報を知ろう
台風が発生すると、台風情報が発表され、気象庁のホームページなどで台風の経路や強さ、今後の見通し、防災に関わる情報などを知ることができます。
また、風速25m/s以上の暴風域に入る確率を分布図と時系列グラフで発表するので、地域ごとに暴風域に入る時間帯を知り備えることができます。住んでいる地域が台風による影響を受けそうな場合、風で飛ばされそうなものがあれば固定するか、家の中に片付けましょう。
――自分の命は自分で守る
内閣府の「避難情報に関するガイドライン」によると、住民は「自らの命は自らが守る」意識を持ち、自らの判断で避難行動をとる方針が示されています。この方針に沿って、自治体や気象庁では住民がとるべき行動を直感的に理解しやすくなるよう、5段階の警戒レベルを明記して災害情報の提供を行っています。
「避難情報に関するガイドライン」(内閣府)に基づき気象庁が作成(気象庁HPより参照)
さらに、警報・注意報が発表されたときに、大雨による災害発生の危険度の高まりを地図上で確認できる「キキクル(危険度分布)」での情報提供も行っています。土砂キキクル、洪水キキクル、浸水キキクルの3項目に分かれているので、いざというときの避難の判断に活用しましょう。
台風が近づいた場合は、増水した河川のそばや崖や渓流のそば、浸水のおそれがある低い土地など危険な場所に近づかないようにしましょう。15cm程度の浸水でも足を取られて流される危険があり、さらに濁っている水によって地面が見えず大変危険です。まずは自分の命を守る行動を第一に考えてください。
――台風が通り過ぎても油断は禁物
台風が通り過ぎたり、温帯低気圧に変わっても警報や注意報が解除されるまでは油断できません。急に風向きが変わったり、急激に水位が変化することもあります。大雨によって地盤が緩んでいることから、土砂崩れの危険も続いています。しっかりと台風情報を見て、最後まで気をゆるめず対応してください。
――日頃から備えを
台風当日も大切ですが、日頃から災害に対する備えを整えることも重要です。電気や水道などライフラインが止まった場合に備え、水や非常用品の確保をしてください。
最新情報をどのように入手するか確かめておきましょう。その際もスマートフォンの場合であれば充電の確保はできるか、ラジオなら電池は十分あるかなど、事前に確認してください。また、避難所を把握し、移動経路も確認してください。「避難しようと思ったら道が浸水して移動できなかった、すでに風が強くなっていた」という状況も想定できます。避難所までの道で危険な場所はないかなど、いざという時の行動を考えておきましょう。
【取材協力】奈良地方気象台
気象庁WEBサイトはこちら
気象庁キキクル(危険度分布)はこちら
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