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教育

「市民ひろばなら小草」理事長 - 未来の奈良をつくる人々【1】

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 奈良市内で無料のフリースクールを運営するNPO法人「市民ひろばなら小草(おぐさ)」の田村隆幸理事長は公立中学校の社会科教諭として38年間、さまざまな生徒と向き合ってきました。田村さんは在職中から、教育現場から見える社会の課題と正面から向き合い、同じ思いの教員と力を合わせて、課題解決に向けた活動を展開。今年8月には自身の歩みをまとめた本も出版しています。「教師の生きざまこそ、最大の教育条件」との理念に忠実に生きる田村さんに話を聞きました。

 

 

田村隆幸(たむら・たかゆき)さん

 1983年、奈良市内の公立中学校に新卒の社会科教諭として赴任。2021年、定年退職。県夜間中学連絡協議会事務局長、ルーツを中国に持つ子と親の会「小草(シャオツァオ)」を結成し、事務局長などを歴任。「NPO法人市民ひろばなら小草」理事長。

 

日本初、無料のフリースクール

 

――「学びのフリースペース小草」とはどんな場所でしょう。

 

田村:

 学校に行きづらい子どもたちの居場所であり、学べる場所です。対象年齢を限定しているわけではありませんが、今、来ている子たちはほとんどが中学生です。

 

 奈良市内の中学校で教員をしながら、不登校の生徒に登校している生徒と同じ教育を保障できないことが大きな課題であると感じていました。教育現場は実に多忙です。学校の先生の多くは体を壊すほどの業務をこなすのに精一杯で、不登校の生徒への十分な教育支援ができない。だから私たちは「この子たちに安心して学べる場を」との思いで近鉄奈良駅から徒歩5分のこの場所を借り、フリースクールを始めたのです。

 

――料金は無料とうかがいました。

 

田村:

 国は「義務教育は無償」と言っていても小中学生のためのフリースクールに支援は一切ありません。しかし、会場費、設備費、人件費、教材費など、どうしても必要な経費があります。一方、不登校傾向の子どもたちの家は経済的に余裕があるのかというと、経験的に、むしろその逆の方が多い気がします。「学びのフリースペース小草」も初年度は他の民間フリースペースよりかなり抑えた料金設定をしましたが、経済的に苦しい、と感じる家庭にとっては利用のハードルになる。いろいろ考えた結果、「今年度から無料にしよう」というのが僕らが到達した結論でした。おそらく民間としては日本初の無料のフリースクールだと思います。

 

 そもそも、日本国憲法第26条は「義務教育は無償」とうたっている。それなのに学校に行けない子どもたちが学ぼうとすると費用がかかるという現状はおかしいと思います。

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