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インタビュー 阪神・オリックスで活躍した能見篤史さん - 奈良新聞創刊77周年特集 アスリートからのメッセージ

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あきらめない気持ち 誰かが見ている

 

 プロ野球の阪神、オリックスでプレーし通算104勝、1517奪三振などの成績を残した元投手・能見篤史さん。プロアスリートとして活躍しながら、子どもたちに玩具を届ける社会貢献活動も展開してきた。今年から、野球解説者として新たなスタートを切った能見さんにスポーツの持つ力について話をうかがった(文中敬称略)。

 

野球の魅力、試練を乗り越えた原動力とは

―スポーツ、野球の魅力はどういったところでしょうか。

 

能見 技術の向上や勝利の瞬間なども勿論ですが、ミスしてもそのミスをカバーしたり、選手間、選手・スタッフ間、ファン他それぞれの立場でサポートし合える点。それは、野球のようなチーム競技でも、個人競技でも同じ。そこから信頼やつながりが生まれ、チームが一体になる。その意味で、人とのつながりは大切と感じます。

 

―社会人時代は故障が続き試練の時代だったと。そこから得られたことは。

 

能見 鳥取城北高校時代は、高校生左腕三羽ガラスと評され、社会人野球・大阪ガスに入社しましたが相次ぐ故障で、殆ど投げられない状態が続いた時期がありました。社会人野球も競争で、結果が出なければチームに迷惑も掛かるし、引退の2文字も頭をよぎります。それでも私がここまでこれたのは、我慢して待ってくれた監督、支えてくれた仲間やスタッフのおかげ。それらが励みになり、肘が壊れても痛みがあっても最後までやり通そうと投げ込み続けることができ、徐々に結果につながった。

 

 自分の場合は、プロ入りということもありましたが、諦めずに一生懸命頑張れば周りの誰かが必ず見てくれています。社会人時代の経験は大きな財産で、野球人生において大きな転換期でした。

 

今年のタイガースは本当に強い

―今年の阪神タイガースは選手が役割を自覚し、チームが一丸となり機能していました。

 

能見 ベテランがいなくなり、優勝を知らない選手が主力を担いながら、近本や大山、梅野といった脂の乗り切った選手がその主力を占めたこと。木浪や佐藤輝、中野など1軍での経験値もだけど頼るものがない中、選手それぞれが自分の役割、やるべきことをしっかりインプットしたことでチームの腰がすわり、機能した。その結果、勝利を重ね一丸になれたことが大きい。一方で、選手の適性を見抜き適材適所への配置など、選手起用含めた岡田監督の野球を知る戦略的な采配の妙も大きい。そして、青山や西勇ら先発陣が調子を落とした矢先に、村上や大竹ら若く新しい力が流星のごとく現れたことかな。今年のタイガースは本当に強い。


―ファンの後押しも大きいと思うのですが、現役時代大観衆の中での登板は、緊張感も半端なかったのでしょうね?


能見 毎回登板する際、かなりの緊張を強いられていました。何をしてもほぐれないので、もう開き直って受け入れることにしました。開き直りって結構大切です(苦笑)。

 

初心にかえって 人とのつながりに感謝

―選手としてみる野球と解説者席からみえる野球は異なって目に映りますか?

 

能見 全く違いますね。現役時代は選手としての当事者目線、今は全体や流れを客観的に、一歩引いた立ち位置で俯瞰してみるというか。その中で、私は昨年オリックスを引退し、今年解説者として1年目のスタートを切った新人です。初心にかえり様々なことを学び、多くのスキルを身に付けていければと考えています。その先に、指導者やリーダーといった選択肢もまた広がって来るのかなと感じます。

 

―選手時代、子供達に玩具をプレゼントする活動に取り組まれていたと聞きます。

 

能見 はい、現役時代に一定、活躍できるようになった頃、何か社会や地域の役に立てないかと球団に相談したところ、遊具や玩具に困っている幼稚園が多くあると聞き、そうした活動をするようになりました。現役を引退した今は、岩崎(投手)が意志を受け継いでくれています。これも先程のつながりと同じ、そういった輪が広まっていけばと思います。


―野球やスポーツを通じて学生や子供達に学んでほしいことは?

 

能見 んー、やはり人と人のつながりを大切にということ。人間上手くいくことばかりではなく、苦しいことや困難に必ずぶつかります。その困難を乗り越えようと必死でやれば必ず誰かが見てくれている。手を差し伸べてくれる人が必ずいます。そのつながりを大切にしてほしいし、だから夢や目標を簡単に諦めないでと伝えたい、自分がまさにそうだったので。努力すれば運も味方になります。頑張ろう!

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