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金曜時評

自民党の裏金問題 本当のことを語れ - 特別編集委員 北岡 和之

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 衆議院解散の時期が本格的に取り沙汰されるようになった。岸田文雄内閣の支持率低下に歯止めがかからないためだが、ここで警戒したいのは、政局の方へ目をそらされてはならないということ。支持率急落の要因の一つは、自民党の「裏金」問題(政治資金パーティーを巡る問題)であり、その解明が先だと訴え続けたい。とにかく、まずは関係者に本当のことを話してほしいのだ。

 

 先日、自民党は政治資金収支報告書に不記載があった議員らの聞き取り調査結果を公表した。対象者には同党安倍派(清和政策研究会)所属で県選出の堀井巌、佐藤啓両参議院議員も含まれている。

 

 何とも不思議なのは、個別の設問に対する具体的な回答が匿名になっている点。なぜ貴重な証言を匿名にしたのか、何を配慮しているのかと疑念が深まるばかりだ。

 

 裏金の総額は、2022年までの5年間で約5億8000万円。注目される使い道に挙がっているのは15項目。会合費、研修会の施設経費、懇親費用、小口現金、事務費、車両購入費、書籍代、人件費、通信費、手土産代、備品・消耗品費、弁当代、リース代、旅費・交通費、翌年以降の派閥のパーティー券購入費用。県関係で、佐藤氏については詳細が明らかにされていないが、堀井氏は以前、派閥からのキックバック(還流)は秘書が全額金庫に保管していたと述べている。要するに、使わなかったというのである。

 

 私たちが問わなければならないのは、ここからだ。まず自民党の議員たちは、裏金づくりを本当に悪いことだと思っているのかどうか。恐らく、そうではない。裏金づくりは日本の保守政治の伝統であり、政治力=カネづくり力(政治資金獲得力)として続いてきたのではないだろうか。今回の問題は、政治資金集めの裏舞台の一端を明るみにしたが、使い道ももっと追及しなければならない。

 

 なぜなら、よく言われる「政治には金が必要だ」の中身、つまり政治活動にどのような金が必要なのかが問題だからだ。選挙のためか、政策や理念を実現するためか、はたまた閣僚になるためか。まずは自民党が続けてきた裏金づくりの実態を自ら明らかにすることが政治的責任を果たすことになる。

 

 先に挙げた15項目などは、いわば政治活動の表舞台用であり、目を凝らすべきは裏舞台のカネであり、その実態だ。そして視野に入ってくるのが企業・団体献金の扱いである。与野党ともに、ここへ踏み込めるかどうかも問われる。

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