「高速道路ができるのか、できへんのか、…
「高速道路ができるのか、できへんのか、それを聞きに来たんや。何で返事できへんのや」と奈良市役所で職員相手にすごむオヤジ。現実ではなく1961年製作の松竹映画。
「好人好日」。奈良女子大教授だった数学者、岡潔が主人公のモデルといわれ奈良市が舞台。この市役所内場面は物語の本筋ではないが、かつてテレビ再放送で見て印象に残っている。
というのも、県内の某市役所記者クラブに詰めていた時、このような市民クレーマーを数多く目撃したからだ。役所に無理難題を言ってくる住民は昔から一定数いるのだろう。
奈良市の病休職員262人(昨年4月〜12月末)のうち精神疾患が65人と、全体の4分の1を占めることが分かった(本紙既報)。憂慮すべき数字である。
精神疾患の原因は仕事量の問題や職場での人間関係、家庭の問題などさまざまだろう。現代の行政は複雑で、クレーマーならずとも市民の目は厳しく。
映画は同僚の機転によって職員は窮地を切り抜ける喜劇。しかし、現実の奈良市の方は早急に対策をとらないと悲劇につながりかねない。(栄)