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金曜時評

国体開催に向けて 競技力強化を図れ - 論説委員 松井 重宏

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 スポーツの秋。県内では9年後の2031年に開かれる「二巡目国体」に向けた準備、取り組みに関心が集まり始めた。一つは主会場、地域の体育施設などハード整備。もう一つは選手、指導者、ボランティアら人材育成。そしてスポーツの裾野拡大、地域振興への波及効果も期待するなら県民の関心、盛り上げが必須となる。そこで問われるのは男女総合優勝(天皇杯)を目指す本気度だ。

 

 スポーツは勝つことが全てではないが、勝利に向け精いっぱい努力する姿勢は重要。選手はもちろん組織も同じ。優秀な選手、指導者の獲得、若い力の育成、施設整備も含めたスポーツが根付き、育つ土壌づくり。一つ一つの積み重ねが成果となり結集、熱気が頂点に達したところに84年「わかくさ国体」の総合優勝があった。

 

 荒井正吾知事は開会中の9月定例県会で、新たなスポーツ拠点の整備に改めて意欲を表明。人材育成についても「スポーツに関わるさまざまな人材が育てば地域の活性化につながる」と答えたが、競技力向上に関する直接的な発言はまだ少ないように見える。

 

 コロナ禍による中止、延期を挟み、3年ぶりの開催となった第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」は今月11日に閉幕。天皇杯は東京が獲得、地元の栃木は2位に終わった。開催県が総合優勝を逃したのは17年の愛媛以来。

 

 大会前に「ぜひ天皇杯、皇后杯を獲得したい」と意気込んでいた福田富一栃木県知事は、結果を受けて「3年ぶり開催で例年以上に各都道府県の有力選手が出場。厳しい戦いになった」と分析。その上で「県選手団の一人一人の頑張りに大きな拍手を送り、心からたたえたい」とコメントした。

 

 勝負には時の運もある。だが頑張りは確かな結果を出す。これを教訓とするなら選手団だけでなく組織の頑張りも検証しないと。例えば水泳の競技力向上でプール整備は欠かせないが、新屋内プールの設置などを求めた水泳関連団体の陳情に県はどう答えるのか。

 

 ちなみに栃木国体の天皇杯得点は東京が2436点で、2位の栃木は2270・5点。奈良は893・75点で25位だった。

 

 荒井知事は今年2月の所信表明で、15年後の2037年に予定されるリニア新幹線開通を「決して遠い未来ではない」と指摘、同事業を見据えた各種施策に着手すると話したが、二巡目国体の開催はより近い9年後。総合優勝に向けた努力、競技力強化、育成の取り組みを着実に進めたい。

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