現代でいえば、過労死レベルのモーレツな…
現代でいえば、過労死レベルのモーレツな働き方ではなかったろうか。奈良市の平城宮跡から見つかった木簡から、奈良時代、女官の勤務実態の一端が分かった。
奈良文化財研究所が刊行した「紀要2022」によると、出土したのは勤務評定に使われた「考課木簡」。記されていた女官は59歳で、実に年間329日も働いていたというのだ。
男の役人の考課木簡では300日未満が多数を占めていたというから、下級役人だったとみられるこの女性は、仕事が激務だったのでは。
女官の年齢にも驚かされる。当時の59歳は今でいえば80歳を超える高齢かも。その歳まで宮仕えできるのは、よほど優秀で上司の信頼も厚かったのではあるまいか。
ベールに包まれている女官の仕事。奈良を舞台とした歴史小説を数多く手がけている作家の澤田瞳子さんに、この女性を主人公とした小説を創作してもらいたい。
「すまじきものは宮仕え」(宮仕えは、できることならしたくない)とぼやくのか。「この歳まで働くことができる人生は幸せです」と語るのか。ぜひ女官に聞いてみたい。(栄)