河瀬直美さんが監督した2部構成の東京五…
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河瀬直美さんが監督した2部構成の東京五輪公式映画の「SIDE B」を観た。1年ほどの間に冷めていた五輪への心に再び火がともった。
アスリートにフォーカスした「A」に対し、「B」では大会関係者やボランティア、医療従事者、大会を下支えする専門職、市民らに焦点を当てる。甘口ではない。
主要関係者の各場面での表情や態度からは、言葉だけでは伝わってこない尊大さやずるさ、怒り、弱さなどが垣間見える。相次ぐ辞任、交代劇や直前での女子マラソンスタート時間繰り上げの混乱ぶりも内部批判などともに示される。
一方では「裏方さん」らの大会成功への熱い思い、損得を超えた行動も捉えられている。五輪の評価を自分の頭で再考する材料が多方面から出てくる。
東京五輪でもレガシーとの言葉が盛んに使われた。真に遺産となるのは功罪両面での公平で明瞭な総括があればこそだ。
偉そうには言えない。心の再点火はほったらかしの証しだ。公式映画ながら負の部分にも一歩踏み込んだ姿勢を刺激に、東京五輪が残したものをあらためて確かめたいと思う。(智)