「昔はこんな暑いことなかったですなあ」…
「昔はこんな暑いことなかったですなあ」。駅で耳にした高齢女性の言葉に思わずうなずいた。日中に無防備で出歩くと高齢者でなくても危険なほどの暑さである。
このような夏の過ごし方の一つとして、室内での読書を提唱したい。夏には各出版社が文庫フェアなどを開催し、おすすめ本を書店に並べている。読書は電力不足の時勢にも合っている。
作家らの職能団体である日本文芸家協会は毎年、優秀作を集めた「ベスト・エッセイ」「短編ベストコレクション」「時代小説ザ・ベスト」を刊行している。
雑誌などに発表された膨大な作品から編集委員が厳選した逸品を集めている。有名作家から新進気鋭の書き手の作品まで、バラエティーに富んでいる上、短編なので読みやすい。
県内の啓林堂書店全店とジュンク堂奈良店で5日から8月31日まで「夏のこども読書マラソン」を開催。読書感想カードを子どもたちから寄せてもらう。
「生涯の大切な1冊を見つけるきっかけになるかもしれません」とPRしているが、それは大人の読書でも同様。知の力で猛暑を乗り切りたいものだ。(栄)