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国原譜

大和路の一年を締めくくるといわれてきた…

 大和路の一年を締めくくるといわれてきた伝統行事「春日若宮おん祭」の「お渡り」を見ることができないと、こんなにさみしいものかと思う。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、沿道の見学者抜きで、一之鳥居からお旅所までの短い距離を小人数が馬や徒歩で行った。

 平安時代末期に、長年にわたる大雨や洪水、それに伴う飢饉(ききん)が相次ぎ、さらには疫病が流行した時に、時の関白・藤原忠通が若宮の霊威にすがったという。

 神殿を造営し、神霊をお迎えして祭礼を奉仕したのが始まりと伝えられる。洪水も治まり、作物も収穫できるようになり、大和一国の盛大な行事となった。

 1200年以上も続く東大寺のお水取り行事にはかなわないが、それでも900年近く、途切れることなく続けられてきた。そこが奈良の伝統行事のすごいところだ。

 歴史上、疫病は繰り返し流行した。今度のコロナ禍も教科書に載ると思うが、過去に乗り越えてきた先人がいるのだから、お互いに協力し注意して前に進みたい。来年の「おん祭」を楽しみにしたい。(治)

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