金曜時評

SSは地域の拠点 - 編集委員 松岡 智

 生活を支えるガソリンスタンド(給油所=SS)の減少が止まらない。先ごろ、経済産業省が発表した平成27年度末時点の国内SSの数は3万2333カ所。ピーク時の6年度末からほぼ半減した。

 原因は、車の燃費向上や少子化による需要減、価格競争の激化、老朽化燃料貯蔵タンクの改修負担、経営者の高齢化と後継者不足など。全国で毎日3、4カ所のSSが廃業している状況で、給油や灯油配送などのサービスが受けられない「給油所過疎地」と呼ばれる自治体も増加している。

 県内町村はこの割合が高い。前出の調査によれば、SSが0カ所は全国11町村中3、1カ所は71町村中8をそれぞれ占める。気軽に隣接自治体に頼れない山間地を中心に、地域住民の生活とともに災害時の燃料供給への影響も懸念されている。

 災害時の燃料供給面では、緊急車両などの公的な車両に加え、一般車両への拠点としての役割にも目が向けられるようになっている。その流れは、今年4月の熊本地震の際、自家用車を避難所代わりとした被災者がSSを探して混乱したことを踏まえ、国が全国で「住民拠点SS」を選定する動きをしていることでも分かる。同SSでは停電時も給油可能とするため、自家発電機の購入費を国が全額補助する方針だ。

 もちろん、高齢化の進む過疎地では、灯油配送といった身近な生活面でのSSの存在意義もある。さらに、情報通信技術の進展で、過疎地でも可能な仕事の範ちゅうが広がっている。これに合わせ、若者や働き盛りの人の移住を促す整備を行う地域が県内にもある。生活しやすさの基盤整備の面からはSSの存在も無視できない。

 こうしてみると、住民の安心安全、生活を守る観点からは、SSの存廃は自治体レベルの問題でもある。だが、関係者によれば、各自治体の意識にはまだまだ温度差があるようだ。

 そんな中、御杖村は村内唯一のSSの存続のために、老朽化した貯蔵タンクの改修費の一部を補助する補正予算案を9月議会に提案した。住民の要望を踏まえ約1年半かけて準備してきたもの。他の給油所過疎地への影響も含め、動向が注目される。

 燃料販売の利益が薄くなる状況で、費用負担の大きい老朽化タンク改修の期限が迫り、後継者も不足する現実は、個店単位では解決しがたい課題とも言える。後手を踏まぬためにも、県を含め各自治体、住民もおのおの問題と向き合う必要はある。

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