特集2024年春の高校野球奈良大会速報

歴史文化

質問「シングルマザー、2人の成人の子がいます。子どもと離れて彼氏と暮らしても大丈夫でしょうか」 - 我知(がち)ーお坊さんに聞いてみる(2024年2月21日)

関連ワード:

【質問】

 シングルマザーで2人の子どもを成人まで育てた40代女性です。最近彼氏ができて、数年お付き合いをしています。彼氏と一緒に暮らす話が出ているのですが、子どもと離れて暮らしても大丈夫なのか、少し心配です。子どもも一緒に連れていくべきでしょうか。(40代女性)

 

回答 堀内瑞宏(秋篠寺 住職)

 

【我知なヒント=相談する相手を間違えてはならない

 

 昨今では落ち着きを得るために行うこともあるようですが、祈願成就の方法の一つに寺社に写経を納めるというものがあります。写経は、試みる意思が場をつくり 真剣な思いが空気を生み、強い願いが心を整える、日常では体験できない経文に接する尊い行為です。

 

 俗世坊主の私見ですが、写経は上手下手ではなく書いている時間空間にどれだけ願いや思いを込められるかが重要だと考えます。そして写経の出来に納得できなくてもそれを自分の心の乱れとして受け入れ、次へと目を向けることも大事なことでしょう。真剣に取り組む姿を示せれば、第三者からも思いや願いの強さに共感を得られるかもしれません。

 

 さて今回の質問者さまの「心配」が具体的に何かは分かりませんので勝手な想像になりますが、離れて暮らす子どもたちが自活できるか、距離ができて縁が薄まらないか、子どもを追いやっているように世間に思われないか、といったところでしょうか。

 

 ただ、いずれにしてもこれは私が答えるべき質問ではありません。子どもたちとじかに話し合い答えてもらう質問です。質問者さまは人生における子育てという名の書にどれだけの思いを込められたのでしょう。その書に対する姿勢が共感できる程であれば、子どもたちは親のためにより良い選択をしてくれるでしょう。

 

 大事なのは書を納めて願いを聞いてほしい相手、つまり相談するべき相手を間違えてはならないということです。成人まで育てたという自負があるのなら、その場にいるのは大人の相談相手です。何事も一人で決めなければならなかったかつての生活から、時には対立する立場でも意見を述べ合える存在がいる今の生活に変化したことを受け入れなければなりません。

 

 私は質問者さまと子どもたちによる話し合いの総意が、交際相手と書く新しい書をより良いものにしてくれる願いを込めてこの文を書かせていただきました。質問者さまは未来へ向けた新たな書にどんな思いを込めていかれるのでしょうか。

 

【お坊さんへの質問を募集しています】

 

 投稿はEメール:n-soudan@nara-np.co.jp奈良新聞デジタルの投稿フォームまたはハガキからお願いします。

相談・質問内容(400字めど)のほか、性別▷年代(30代など)▷氏名▷住所▷電話番号を明記してください。

掲載は相談・質問内容、性別、年代のみです。その他の項目が出ることはありません。

 

採用は弊社と回答者で判断し、掲載の有無や掲載日についてお答えすることはできませんのでご了承ください。

 

【回答者】

興福寺 辻 明俊さん

金峯山寺 五條 永教さん

秋篠寺 堀内 瑞宏さん

 

【掲載日】

毎月第1、3水曜日「暮らし」のページ・奈良新聞デジタル

関連記事

特集記事

人気記事

  • 奈良の逸品 47CLUBに参加している奈良の商店や商品をご紹介
  • 奈良遺産70 奈良新聞創刊70周年プロジェクト
  • 出版情報 出版物のご購入はこちらから
  • 特選ホームページガイド