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名勝維持へ力添えを 当麻寺中之坊庭園「香藕園」大規模修繕へCF

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ひび割れた築地塀=31日、葛城市当麻の当麻寺中之坊

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 奈良県葛城市当麻の当麻寺中之坊は8日から、国指定の史跡・名勝の庭園「香藕園(こうぐうえん)」を大規模修繕するための工事資金を、クラウドファンディグ(CF)で募る。1口1万円から、近鉄沿線を応援するクラウンドファンディングサイト「エールレール」(https://yell-rail.en-jine.com/)で受け付ける。

 

 同庭園は、安土桃山時代の桃山期に作庭。江戸時代初期、茶道に精通した後西院(後西天皇)をもてなすため、茶道石州流の祖・片桐石州により現在の形に改修。「藕(ハス)香る庭」の名の通り、池面にハスやスイレンが咲き、池泉回遊式庭園の中庭と山の斜面の外庭を低い築地塀が隔て、国宝の三重塔「東塔」を借景とする。1934(昭和9)年、書院を含む敷地約1100平方メートルが国史跡・名勝に指定。

 

 近年は、経年劣化により池に山水を引く水路は欠損し、注水量は減少。池底を固めたコンクリートに亀裂が起こり漏水し、ポンプで補水しないと水位は1日で30センチ降下。5~9月、池面に咲くハスなどの生育に影響する事態となった。また漏水は周囲の地盤に影響し、築地塀の沈下や傾倒、ひび割れなども発生。石組や植栽の整備など、外庭から内庭まで大規模保全工事が必要となった。工事は2024年度から5年かけて行い、可能な範囲で庭園の公開は続ける予定。

 

 大規模修繕費用は総額6150万円に上り、一部を国や県、市が助成。24年度は年間工事費1450万円中、約6割が同寺中之坊の自己負担となった。他の修復事業も重なり、CFの実施を決めた。CFの返礼品には記念品や体験メニューを用意。松村實昭貫主(51)は「貴重な史跡・名勝を後世に伝えるため、皆さまのお力をお借りしたい」と協力を呼びかけている。

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