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2024年も多い不安定要素 「選ばれ続ける経営」へ、価値創造し発信を - 奈良経済をつかむ(18)

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 2023年は新型コロナウイルス禍が収束し、国内の経済活動が活性化した。日米の金利差拡大で円安が進み割安となった日本への海外からの旅行客もコロナ前の水準に戻り、インバウンド需要が堅調だった。奈良県内でも観光地を中心に人流が戻り、飲食店や宿泊施設もにぎわいを取り戻した。一方で、資源や原材料価格が上昇する中で価格転嫁が進まず、県内企業の収益環境は厳しいものとなった。そこに人手不足や後継者不在などの要因が重なり、関連する倒産が増加した。

 

 24年に入ってからも人手不足など構造的な問題が経済活動に悪影響を与えると懸念される。海外情勢の混迷が続くほか、中国経済の悪化など海外の不安定要素も多く、県内企業でも事業戦略を立てにくい状況が続くとみられる。

 

 このような状況を打開していくには、行政や金融機関からのゼロゼロ融資(実質無利子無担保融資)のような応急措置的な支援ではなく、企業が持続的に成長戦略を描けるような支援が求められる。県は「人材確保の抜本的強化」や「企業価値を次世代につなぐ事業承継」など八つの柱から成る「新しい産業政策のパッケージ」を24年度予算に盛り込んでいく方針だ。

 

 企業は、自社の事業価値のブラッシュアップと新たな価値を創造していく必要がある。それらを取引先や金融機関のみならず地域社会などに対しても積極的かつ効果的に発信し、「選ばれ続ける経営」を目指していくことが不可欠だ。(帝国データバンク調査課 碓井健史)

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