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強みを持ちつつも、倒産増える老舗企業 柔軟に対処するガバナンスの強化を - 奈良経済をつかむ(17)

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 国内には2023年9月時点で、創業・設立から100年を超える老舗企業が4万3631社(帝国データバンク独自データベース約147万社から抽出)存在する。24年には、新たに約2千社が業歴100年を迎える。世界でも群を抜いた「老舗大国」だ。

 

 全体の企業数に占める老舗企業の割合を示す「老舗出現率」は2.65%で、都道府県別では京都府が5・26%でトップとなった。古くから都があり栄えたことや、第二次世界大戦中の被害が比較的小さかったことなどが要因として挙げられる。

 

 奈良県は3.32%で17位となっており、京都府と同じような要因で上位に位置していると考えられる。一方、沖縄県は0.16%で最も低かった。大戦中の戦闘が最も激しく、壊滅的な損害を受けて事業の連続性が途絶えた影響が考えられる。

 

 業種別でみると、貸事務所業が1401社で最多となった。次いで古くから日本の産業をけん引してきた清酒製造業が936社となっている。貸事務所業は、もともとは製造業や小売業などを展開していた企業が経営環境の変化により本業を縮小し、保有していた不動産を賃貸するなど業種変更してきたケースが多くみられる。

 

 県内老舗企業は「オイルショックやバブル崩壊、リーマンショックなどさまざまな困難があったが、会社の存在意義や理念を代々承継し、環境変化に柔軟に対応できる組織づくりや事業を手がけてきたから続いている」

 

 一方で、老舗企業の倒産件数が9月時点で3年ぶりに増加に転じ、すでに昨年の累計件数(65件)に迫る水準となっている。老舗企業は、長年にわたってさまざまな難局を切り抜けてきた経験があり、環境適応力が特長だ。実績やブランド力は一朝一夕で獲得できるものではなく、同業他社との差別化を図れる武器でもある。

 

 しかし、老舗企業の倒産理由として、近年はコンプライアンス違反や後継者難、人手不足などを要因とした倒産が増えている。企業を継続的に経営していくには、外部環境の変化に対応することのみならず、内部の変化も敏感に察知して柔軟に対処していくガバナンスの強化が求められる。(帝国データバンク調査課 碓井健史)

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