景況感DI2期ぶり悪化 7〜9月期地元企業動向調査
製造業は全業種で低下 非製造業、建設業・不動産は上昇
南都経済研究所(奈良市)は9日までに、7〜9月期の「地元企業動向調査結果」を発表した。業界の景気判断を示す景況感DI(前期比)は、13・9ポイント低下のマイナス16・8と、2期ぶりに悪化した。同研究所は「原材料・資源価格の高止まりによる収益の悪化、中国経済の後退懸念や記録的な猛暑による影響などもあり、幅広い業種で景況感悪化の傾向が見られた」としている。
業種別の景況感DIは、製造業が22・6ポイント低下のマイナス25・2。プラスチック製品、木材・木製品、繊維製品、化学・医薬品など、全ての業種で低下した。
非製造業は5・6ポイント低下のマイナス8・7。建設業、不動産業などが上昇し、ホテル・旅館、卸売業、サービス業などが低下した。
来期の景況感DIは4・5と、21・2ポイント上昇の見通し。同研究所は「慢性的な人手不足や賃上げによる人件費の増加、長引く物価高などが引き続き懸念されるが、個人消費の持ち直しや底堅い設備投資意欲を背
景に、景況感の緩やかな改善が見込まれる」としている。
企業(自社)の経営状況については、売上高DIが8・6ポイント低下のマイナス13・7と、2期ぶりに悪化。経常利益DIも8・8ポイント低下のマイナス22・6と、2期ぶりに悪化した。
最近の業況に関する自由記述では、プラスチック製品が「環境への配慮からリサイクルフィルムの需要が伸び、来期以降は生産高の増加を見込んでいる」と改善のコメント。一方、木材・木製品は「ウッドショック以降、業界全般的に良くない」と悪化のコメントを寄せた。
経営上の問題点としては、製造業は「仕入価格(加工賃)の上昇」が、非製造業は「人員不足」が最多。重視する経営戦略に関しては、製造業は「既存製商品・サービスの高付加価値化」「新製商品・新サービス開発への注力」が、非製造業は「人材育成」が最も多かった。
DIは「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた指数。
調査は9月中旬から10月上旬に郵送とWebで実施し、県内企業292社から有効回答(有効回答率35・0%)を得て取りまとめた。