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質問「40代男性、独身のままでは、いけないですか?」 - 「我知(がち)」ーお坊さんに聞いてみる(2023年10月4日)

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質問

 教員として働いています。20代の頃に交際相手の女性に大金を持ち逃げされたことがあり、それから少し人間不信になって結婚していません。

 

 そして、学校の同じ教職員のおばさんたちから、「40代にもなって独身だなんておかしい」「生活力があるのに独身だなんて考えられない」などと言われ続けています。確かに独身のままだと、将来自分が何かの病気を患った時などのことが心配になりますし、私は子どもが好きなのに自分の子どもを授かることができないので寂しくもなります。ただ、実際のところ、現在の私は学校で子どもたちと過ごしたり、休日にボランティアで施設の子どもたちに勉強を教えたりしていて、とても幸せです。職場で散々文句を言われるのですが、独身とはそれほど良くないことなのでしょうか。

(男性 40代)

 

回答

 辻 明俊(興福寺執事長) 

 

我知なヒント=一枚の地図を描いていくのはあなた自身

 

 夏をおくり、窓の外から聞こえる虫の音が心地よい季節となりました。一方、今回の憂悩は現代社会の切実な声に聞こえます。将来への不安、親になることのできない憂い。これは多かれ少なかれ誰しもが考えたり、悩んだりしますよね。

 

 もしかすると、千載一遇のチャンスはあったのかもしれませんが、過去のトラウマがブレーキになったー。周りからやいのやいの言われるのは、放っておけない存在であるからなのか、単なるお節介なのか。

 

 心配事を抱えながらも現状は幸せと言えるのであれば、職場の一声、ひと声には接し方を変えてみてはどうでしょうか。世間の価値観やあおりに慌てる必要はないように思います。 

 

 言うまでもなく理想的な出会い、ふさわしい人と巡り合う、そう簡単に期待できるものではないでしょう。気持ちばかり焦ってアクセルを踏めば、身心はバランスを失い、恋に落ちるどころか脱輪します。

 

 これから走る距離はまだまだ長い。人生に道しるべはあっても、目的地までの正確な案内図はありません。どの方向を目指すにしても、がむしゃらに突っ走るのではなく、悩み、迷いながらも寄り道できる、ゆっくり周りを見渡せる。そんなゆとりがあってこそ、道中に気づけることもあるのです。

 

 どこにたどり着くか、たどり着けるのか。いろんな生き方があっても良いはず。ハンドルを握り、一枚の地図を描いていくのは、あなた自身なのです。

 

(第1、3水曜掲載)

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