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変わる企業の与信管理方針 上限額縮小なども - 奈良経済をつかむ(14)

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 倒産件数が増加基調となっている中で、企業の与信管理マインドに変化が生じている。2023年上半期の倒産件数は前年同期比で31・6%増の4006件となった。大型倒産も散見し、ゼロゼロ融資の返済開始がピークを迎えていることもあり、企業の与信管理の方針や運用に変化が生じている。

 

 県内の企業においては、新型コロナウイルス禍から社会経済活動の正常化が進み、売り上げがコロナ前の水準に戻っている企業も増えつつある。ただし、売り上げの中身をみると販売数量が減る一方、原材料高などの販売単価上昇によって売り上げを維持している企業も多い。さらに収益面ではコスト増加分を販売価格に適正に転嫁できず、採算が悪化している企業も散見する。

 

 与信管理担当者への調査によると「原材料価格の高騰」「人手不足」「エネルギー価格の高騰」を特に気にしている。昨今の状況を踏まえて、従来の与信管理重点先に対しては限度額縮小や取引条件の見直しを進めるケースが増えている。

 

 「これまでは取引先の与信管理を(経営者の)感覚で行っていたが、第三者機関が有する企業データなども活用していく必要性がある」(県内鉄工業者)。

 

 与信管理を厳しくすることで、不良債権の発生を抑制するなどの効果が期待できる。一方、情報の非対称性によって過度に取引が縮小する可能性もある。先行きが見通しにくい経済環境で適正な与信管理を実現するには情報の非対称性を解消していくための情報発信が今まで以上に重要となっている。(帝国データバンク調査課 碓井 健史)

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