景況感DI2期ぶり改善 ホテル・旅館「いまなら」終了で予約減 4〜6月期地元企業動向調査
南都経済研究所(奈良市)は16日までに、4〜6月期の「地元企業動向調査結果」を発表した。業界の景気判断を示す景況感DI(前期比)は、9.2ポイント上昇のマイナス2.9と、2期ぶりに改善した。同研究所は「新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行されて経済活動も平常時に戻りつつある中、マイナス圏の中の動きではあるが、幅広い業種で景況感改善の傾向がみられた」としている。
業種別の景況感DIは、製造業が10.0ポイント上昇のマイナス2.6。木材.木製品、プラスチック製品、繊維製品などが上昇し、その他の製造業が低下した。
非製造業は8.4ポイント上昇のマイナス3.2。ホテル.旅館、運輸業、サービス業などが上昇し、建設業、不動産業が低下した。
来期の景況感DIはマイナス1.6と、1.3ポイント上昇の見通し。同研究所は「円安や資源価格の高騰などによる物価高や賃上げ機運の高まりによる人件費の増加懸念など、企業経営にとって厳しい状況が続いており、先行きに慎重な見方をしている企業が多いことがうかがえる」としている。
企業(自社)の経営状況については、売上高DIが4.4ポイント上昇のマイナス5.1と、2期ぶりに改善。経常利益DIも9.6ポイント上昇のマイナス13.8と、2期ぶりに改善した。
最近の業況に関する自由記述では、繊維製品が「同業他社の廃業により、受注が増加している」と改善のコメント。一方、ホテル.旅館は「『いまなら。キャンペーン2023』終了後の予約が伸びない」と悪化のコメントを寄せた。
経営上の問題点としては、製造業は「仕入価格(加工賃)の上昇」、非製造業は「人員不足」が最多。重視する経営戦略に関しては、製造業は「新製商品.新サービス開発への注力」、非製造業は「人材育成」が最も多かった。
DIは「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた指数。調査は6月中旬から7月上旬に郵送で実施し、県内企業311社から有効回答(有効回答率37.2%)を得てとりまとめた。