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奈良県知事選に当選の山下氏「公約実現へ説明丁寧に」

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知事選当確を決めた直後、記者会見で今後の県政運営について語る山下氏=9日夜、奈良市内

 9日投開票された奈良県知事選で、現職や自民党県連推薦の新人らを破り、劇的な勝利を手にした日本維新の会新人の山下真氏(54)。同日夜の当確判明直後、記者会見し、選挙戦を振り返るとともに、自らが担う今後の県政の在り方など考えを語った。

 

奈良モデルに一定の評価

大型事業は見直し対象

 

 山下氏は12日間の選挙戦を振り返り、「長いようで短かった。維新に助けられすべて出し尽くせた。他陣営を特に意識することなく愚直に政策を訴え続けた」と満足感を口にした。

 

 しかし、悲しい出来事もあった。最終盤を迎えた今月7日、最愛の母松枝さん(90)が死去。「容体を気にしてメンタル面は辛かった」。病床の母を思いながら戦う苦しい胸の内を明かした。「母は私が政治の世界で頑張ることを強く望んでいた。当選の朗報は聞かせられなかったが、母にも良い仕事をしたと報告できるよう知事としての職責を全うしたい」と誓った。

 

 来月初めには荒井正吾知事(78)から県政のバトンを受け継ぐ。荒井県政が推し進めた「奈良モデル」については、「合併が進まず財政規模が小さい自治体への県の垂直補完は合理的と思う」と一定評価。そのうえで、広域行政の一つ「県域水道一体化」にふれ、「県の試算を信頼性が持てるものにしないといけない。水道料金や自治体負担など将来予測を示した数字の正しさ、事業の進め方についても検証が必要。仮に不都合があるなら一部見直しもある」と述べた。

 

 一方、選挙戦で批判の的にしてきた大型事業の見直しについては、近鉄奈良線の移設▷リニア新駅と関空をつなぐ鉄道整備▷五條市の2000メートル級滑走路を伴う防災拠点▷大和平野中央田園都市構想▷中央卸売市場の再整備―を対象に挙げ、31年の国民スポーツ大会に関連する予算などの扱いに関しては「白紙」とした。

 

 ただ、維新が県議会で14議席を獲得したとはいえ、少数与党の県政運営は厳しさも予想される。「議案否決のような厳しい局面も予想されるが、選挙で訴えたことは公約。それをやることの理由を懇切丁寧に説明し、理解を得ていかないといけない」と議会とは対話を尽くす考え。

 

 「人口減やそれに伴う税収減が進む中で、ますます需要が高まる医療・介護・福祉を考えると財源ねん出に行財政改革は待ったなし」とし、「補助金や交付金がつく事業ばかりではないし、公共事業への安易な起債は将来世代への負担のツケ回しになる。有権者も行革を望んでいると思う」とした。

 

 さらに「自民分裂」となった今回の知事選では、県内首長も現職と新人の双方に分かれ対立。維新に同調する動きは見られず、市町村との連携も課題だ。

 

 山下氏は「県民のことを考えると知事と(基礎自治体の)首長は同じベクトルであるべきで、行政運営にに政治を持ち込むべきでない。それをしていたのが現県政。現職知事の後援会長を39市町村の長が務め、踏み絵のようになっていた」と特異性を指摘した。

 

 「現在抱えている事件の処理もある」と、弁護士の仕事の区切りを早々につけるなど今後の準備を進める考え。注目される副知事などの人事については「まだ白紙」とした。

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