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物流業界の2024年問題 備え不十分な企業も - 奈良経済をつかむ(9)

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 物流業界では「2024年問題」への対応が喫緊の課題となっている。働き方改革関連法によって、24年4月1日からドライバーの時間外労働の上限が年間960時間に制限される。長時間労働が慢性化していた物流業界の労働環境を改善し、人口減少の中でも若手ドライバーの確保につなげて人手不足を解消することが狙いだ。

 

 奈良県内の中小物流業者では、「関西から関東の長距離輸送において静岡に中継地点を設けてドライバー2人以上で輸送し、一人当たり労働時間を短縮する」と改善の動きがある一方、「2024年問題への対応には資金も相応に必要となるため、事業継続の可否を含めて検討していく」との声もある。収益改善や資金繰りなど短期的な経営課題の改善に奔走し、2024年問題への備えが十分でない企業も多い。

 

 経済の血液と呼ばれる物流は日本経済と消費者の生活の支えとなっており、なくてはならない存在である。24年4月以降も正常な物流を維持していくためには実効性を伴った改革を官民一体となって進めていく必要がある。また、その実現には荷主企業の協力も不可欠である。

 

 燃料費や人件費が上昇する中、同業他社との競争が厳しく運賃の値上げができていない中小物流業者も多い。業務委託先の待遇改善を進めて安定した物流システムを維持・構築していくためにも適正運賃での発注が必要不可欠である。

 

 (帝国データバンク調査課・碓井健史)

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