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電気窯と登り窯新装へCF 奈良の「がんこ一徹長屋」赤膚焼の大塩恵旦さん

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耐用年数が過ぎて老朽化が激しい電気窯=17日、奈良市西ノ京町のがんこ一徹長屋

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◆返礼品に金色茶器など

 

 奈良市西ノ京町の「がんこ一徹長屋」内に工房を構える赤膚焼の陶芸家、大塩恵旦さん(59)が、創業から28年間稼働して傷んでいる「電気窯」と「登り窯」の買い替えや修理の費用を捻出するために、インターネットで資金を調達するクラウドファンディング(CF)で支援者を募っている。大塩さんは奈良時代創建の薬師寺東塔(国宝)の解体修理工事で基壇からとられた粘土を使用して、釉薬(うわぐすり)を使わない「焼き締め技法」によって金色や銀色に輝く新作に挑戦。資金調達で新窯などを備えることでより多くの作品作りに意欲を見せている。

 

 新作は登り窯で2回焼いた後、電気窯で回数を変えて金色や銀色に仕上げる。2021年の金色に続いて、22年6月には銀色の作品を完成。同年9月に開かれた「第73回県美術展覧会」の工芸部門で、金色と銀色の二つの作品「棗(なつめ)」(抹茶を入れる茶器の一種)が入選している。

 

 一方で、作品作りを支える窯の傷みが激しく、特に創業時から使用している電気窯は耐用年数(約20年)も過ぎてヒーター線が壊れるなど老朽化。高温(1250度)では使えないため、もう1台の電気釜で作品を仕上げている状態だ。登り窯も基礎部分に大きなひび割れがあり、窯が崩れる懸念もある。

 

 CFはアド近鉄(大阪市)が運営する「エールレール」で実施。「金色・銀色に輝く、新しい赤膚焼の創作に挑戦。作陶を支える傷んだ窯の修理支援プロジェクト」と題して今月13日から募集開始している。実施期間は4月10日までで、目標額を200万円に設定している。

 

 返礼品には、金色や銀色に輝く茶器・茶道具、酒器、湯呑みなどのほか、アクセサリーパーツも用意している。支援金額は1万1000円(税、送料、返礼品の玉パーツ2個セット込み)から。

 

 大塩さんは「新作を見てほしいという気持ちが一番。全国の人に知ってもらうためにクラウドファンディングを利用した。一つでも多く金色に輝く作品を作りたい」と話している。

 

 CFの詳細、支援は「エールレール 赤膚焼 大塩恵旦」で検索。

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