芝舞台に能の原点 奈良県庁前で「なら芝能」
第45回「なら芝能」(奈良県、NPO法人奈良能主催)が5日、奈良市登大路町の県庁前の芝生舞台で行われた。屋外の舞台に通りがかりの観光客らも足を止め、能の世界観を楽しんだ。
なら芝能は、能楽発祥の地の奈良で、その原点の姿を再現しようと1947(昭和22)年に旧県公会堂庭園で「寧楽芝能」を開いたのが始まり。その後、一時途絶えていたが78(昭和53)年に復活し、今回で45回目を迎えた。
この日は芝生を舞台に金剛流シテ方、山田伊純さんが「舎利」を上演。山田さん演じる足の早い鬼、足疾鬼(そくしっき)は、東山・泉涌寺に宝物として伝わる仏舎利を奪い、天井を蹴破って逃走。舎利を取り返そうと現れた韋駄天(いだてん)と争いを繰り広げる内容で、観客は物語の世界に入り込んだ。
同NPO法人の船内和美理事長は「芝居の語源となった芝生の上での芸能鑑賞を再現している。開放された場所で能楽をすることで観光客にも能に興味を持ってもらえれば」と話していた。